
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、社会保険労務士の関谷です。
社会保険労務士として、法令に基づいた適切な労務管理を通じて、働く方が安心して働ける職場づくりと、経営者が本業に専念できる環境づくりをサポートしています。
「面接では良い印象だったのに、入社してみると長く続かなかった」ということは、採用の場面では珍しくありません。
この記事では、採用面接で会社と応募者の認識を合わせ、入社後の「思っていた働き方と違った」というズレを減らすために、会社側が意識したいポイントを整理します。
採用面接で好印象でも、なぜ入社後にミスマッチが起きるのでしょうか?
面接での印象だけでは実際の働き方まで分からないため、仕事の進め方や職場で求められる行動まで具体的に確認することが大切です。
面接では、
「受け答えがしっかりしている」
「話しやすく、感じのよい人だ」
「これまでの経験も十分ありそうだ」
といった印象を持つことがあります。
ところが、採用して実際に働き始めると、
「想像していた働き方と違った」
「職場のやり方になじめなかった」
「お互いに期待していたことが違っていた」
といったズレが出てくる場合があります。
こうしたミスマッチは、誰かが悪いというよりも、採用前にお互いが想像していた働き方に違いがあったことが原因の一つとして考えられます。
たとえば、
- 自分で判断して進める場面が多いのか
- 周囲と相談しながら仕事を進めるのか
- 忙しいときにどの程度助け合う職場なのか
- 分からないことがあったとき、どのタイミングで相談するのか
といった部分は、求人票に書かれている勤務時間や給与だけでは伝わりにくいものです。
採用面接では、応募者の経験や人柄を見るだけでなく、実際に働く姿をお互いにイメージできるところまで話すことが大切になります。
面接の前に「どのような人と働きたいか」を整理できていますか?
会社が求める人物像を具体的な行動まで整理しておくと、面接担当者の感覚だけに頼らず採用を考えやすくなります。
面接の質問を考える前に、まず確認しておきたいのが、
「自社では、どのような人に働いてもらいたいのか」
ということです。
ここで注意したいのは、
「明るい人」
「真面目な人」
「コミュニケーション能力が高い人」
といった言葉だけで終わらせないことです。
こうした表現は分かりやすい反面、人によって受け取り方が違います。
「求める人物像」を行動に置き換えてみる
たとえば「周囲と協力できる人」を求めているとします。
これを、実際の職場での行動に置き換えると、
- 忙しそうな人がいれば声をかけられる
- 自分だけで判断しにくいときは早めに相談できる
- 自分の担当業務だけでなく周囲の状況にも目を向けられる
といった形で考えることができます。
こうすると、面接でも、
「協調性はありますか?」
と聞くよりも、
「これまでの職場で、周囲と協力して仕事を進めた経験はありますか?」
「仕事が重なったとき、周囲とどのように調整していましたか?」
といった具体的な質問につなげやすくなります。
今いる職員を参考にしてみる
求める人物像がなかなか思い浮かばない場合には、現在うまく働いている職員を思い浮かべてみる方法もあります。
「この人は、どのような行動をしているだろう」
「困ったときには、どのように周囲と関わっているだろう」
「仕事を任せやすいと感じるのは、どのような部分だろう」
と考えていくと、自社が大切にしている働き方が見えてくることがあります。
採用基準を考えるときは、理想的な人物を一から作るより、実際の職場で大切にされている行動を見つけるところから始めると整理しやすくなります。
採用面接では、どのような質問をするとよいのでしょうか?
応募者の考え方や仕事の進め方を知るには、抽象的な質問だけでなく、これまでの具体的な経験を聞く方法があります。
採用面接では、
「周囲とうまくコミュニケーションを取れますか?」
「責任を持って仕事ができますか?」
といった質問をすることがあります。
もちろん、こうした質問が間違っているわけではありません。
ただ、
「はい、できます」
という回答だけでは、その人が普段どのように仕事を進めているのかまでは分かりにくいでしょう。
そこで、これまでの経験について聞いてみます。
過去の具体的な場面を聞いてみる
たとえば、
「仕事で予定外のことが起きたとき、どのように対応しましたか?」
「周囲と意見が違ったときは、どのように話を進めましたか?」
「仕事が複数重なった場合、どのように優先順位を決めていましたか?」
「分からないことがあったときは、普段どのように確認していましたか?」
といった質問です。
ここで大切なのは、正解を探すことではありません。
応募者が、
どのような状況で、何を考え、どのように動いたのか
を知ることです。
面接だけで、その人のすべてを理解することはできません。
それでも、これまでの具体的な経験を聞くことで、「感じが良かった」という印象だけよりも、入社後の働き方を考える材料は増えていきます。
応募者に会社のことを十分伝えていますか?
仕事内容や条件だけでなく、日々の仕事の進め方や職場で大切にしていることを伝えると、応募者も自分に合う職場か判断しやすくなります。
採用面接というと、会社側が応募者に質問する時間が中心になりがちです。
しかし、入社後のミスマッチを減らすという意味では、会社側から伝える内容も同じくらい重要です。
求人票には、
・給与
・勤務時間
・休日
・仕事内容
・必要な資格や経験
などを書くことができます。
一方で、実際に働くうえでは、
・「相談しながら仕事を進める職場なのか」
・「ある程度一人で判断することが求められるのか」
・「忙しいときに他の職員を手伝うことがあるのか」
・「どのようなことを職場として大切にしているのか」
といった情報も重要です。
たとえば面接の中で、
・「当社では、判断に迷った場合には早めに相談してもらうことを大切にしています」
・「忙しい時間帯は、担当にかかわらず周囲でフォローすることがあります」
・「入社後は、このような仕事から少しずつ覚えていただく予定です」
などと説明することが考えられます。
こうした情報があれば、応募者側も、
・「自分が働く姿をイメージできる」
・「この働き方なら自分に合いそうだ」
・「想像していた環境とは少し違うかもしれない」
と判断しやすくなります。
採用は会社が一方的に人を選ぶだけではありません。
応募者にも、自分がその職場で働く姿を考えてもらうことが、採用後の定着につながります。
採用時のミスマッチを減らすために見直したいポイント
面接を見直す際は「求める人材」「確認する質問」「会社から伝えること」の3つをそろえると、認識のズレを減らしやすくなります。
採用面接を見直すといっても、いきなり面接方法を大きく変える必要はありません。
まずは、次の点を確認してみてください。
「真面目」「明るい」といった印象だけではなく、仕事中にどのような行動をしてほしいのかまで考えます。
応募者のこれまでの経験を聞きながら、仕事の進め方や考え方を確認できる質問を考えます。
条件だけではなく、仕事の進め方、相談の仕方、職場で大切にしていることなども説明します。
会社側から説明して終わりにせず、応募者が気になっていることを確認できる時間を設けます。
複数の担当者が面接する場合には、「何となく良さそうだった」だけではなく、どの点を確認するのかをある程度共有しておくと判断しやすくなります。
会社として気をつけたいポイント
採用面接では、応募者のことを詳しく知りたいという気持ちから、さまざまな質問をしたくなることがあります。
ただし、聞きたいことを何でも質問してよいわけではありません。
その質問が、実際の仕事内容や採用判断に必要な内容なのかという視点を持って、質問内容を整理しておくことが大切です。
面接担当者ごとに質問内容が大きく違う場合には、一度質問項目を確認してみるのもよいでしょう。
採用面接で勘違いしやすいポイント
「話しやすい人」と「自社で働きやすい人」は必ずしも同じではないため、面接時の印象と仕事上の確認事項を分けて考えることが大切です。
「話が合ったから、この人なら大丈夫」とは限りません
面接で会話が弾んだり、受け答えに好感を持ったりすることはあります。
もちろん、人柄や印象も採用を考えるうえで一つの要素です。
ただし、
「話しやすかった」ということと、「その職場の働き方に合う」ということは同じではありません。
たとえば、
会社では「困ったら早めに相談してほしい」と考えている一方で、本人は「できるだけ自分だけで解決してから相談したい」と考えているかもしれません。
どちらが正しいということではありません。
大切なのは、その違いを入社後に初めて知るのではなく、採用前の段階でできるだけお互いの考え方を確認しておくことです。
面接では、
「この人を採用したいか」
だけでなく、
「この会社で実際に働いたとき、お互いに無理なく働けそうか」
という視点も持ってみるとよいでしょう。
よくある質問
面接ですべてを見抜こうとするのではなく、会社として確認したいことを整理し、応募者にも具体的な情報を伝えることが大切です。
Q. 面接だけで自社に合う人か判断できますか?
面接だけで完全に判断することは難しいでしょう。
限られた時間の中で行われますし、応募者も普段とは違う緊張した状態で話していることがあります。
そのため、「人を見抜く」というより、採用判断に必要な情報をできるだけ集める時間と考えた方が実務上は分かりやすいでしょう。
会社が確認したい内容を事前に整理しておくことが重要です。
Q. 求める人物像は細かく決めた方がよいのでしょうか?
細かく決めすぎると、条件に当てはまる人が少なくなり、かえって採用が難しくなることがあります。
そのため、
「絶対に必要なこと」
「できれば持っていてほしいこと」
を分けて整理するとよいでしょう。
特に人物面については、「明るい人」といった性格だけではなく、仕事中にどのように行動してほしいのかを考えると、採用基準として使いやすくなります。
Q. 職場の大変な部分も伝えた方がよいですか?
入社後に必ず経験する可能性が高いことであれば、できる範囲で説明しておく方がよいでしょう。
たとえば、
「月末は業務が集中しやすい」
「電話対応が比較的多い」
「職員同士でフォローしながら仕事を進める場面がある」
など、実際の働き方が伝わる説明です。
必要以上に悪く伝える必要はありませんが、良い面だけを伝えて入社してもらうよりも、事前に現実的なイメージを持ってもらう方が、お互いにとって安心です。
Q. 面接を見直したい場合、最初に何をすればよいですか?
まずは現在の面接で、
「応募者の何を確認しているのか」
を書き出してみることをおすすめします。
そのうえで、
「その質問で、本当に確認したいことが分かるだろうか」
「会社から伝えるべきことが抜けていないだろうか」
という視点で見直してみてください。
質問を一つ変えるだけでも、面接で得られる情報は変わってきます。
まとめ
採用面接はお互いの認識を合わせる時間です。採用後の定着を考えるなら、応募者を見るだけではなく、会社側も職場の実際を伝え、お互いに働き方を確認することが重要です。
採用面接では、どうしても
「この人を採用するかどうか」
という判断に意識が向きます。
しかし、入社後まで考えると、会社だけが応募者を確認する場では十分とはいえません。
- 会社がどのような働き方を求めているのか
- 応募者がこれまでどのように仕事を進めてきたのか
- 実際の職場ではどのような働き方になるのか
こうした点をお互いに確認しておくことが大切です。
採用した後になって、
「そんな働き方だとは思わなかった」
「会社としては、そこを大切にしてほしかった」
というズレが分かるより、面接の段階でできるだけ具体的に話しておく方が、双方にとって安心です。
採用面接を「人を選ぶ時間」だけではなく、これから一緒に働けそうかをお互いに確認する時間として考えてみてはいかがでしょうか。
なお、採用面接で確認する内容や質問の仕方は、実際の仕事内容や募集する職種によっても変わります。
面接方法を見直す場合は、自社の採用基準や職場の状況に合わせて整理していくことも大切です。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント
採用時のミスマッチを減らすには、求める人物像を具体的に整理し、応募者のこれまでの行動を確認するとともに、会社側も実際の働き方を伝えることが大切です。
お問い合わせについて
当事務所が大切にしている労務管理の考え方
当事務所では、「労使双方が制度を正しく理解し、日頃から話し合える職場づくりが、労使トラブルの予防につながる」と考えています。
労使トラブルは、問題が起きてから対応するよりも、未然に防ぐことが大切です。
トラブルの多くは、制度を知らなかったことや、事前の認識の違いから生じます。
日頃からルールを整え、制度を正しく理解しておくことで、防げるトラブルは少なくありません。
社会保険労務士として、法令に基づいた適切な労務管理を通じて、働く方が安心して働ける職場づくりと、経営者が本業に専念できる環境づくりをサポートしています。
そのため、就業規則の作成・変更や労働・社会保険の各種手続きだけでなく、日々の労務相談を通じた「予防型」の労務管理にも力を入れています。
「この対応で本当に大丈夫だろうか」
「まだトラブルにはなっていないが、一度専門家に確認しておきたい」
そのようなお悩みや、「まだ相談するほどではないかもしれない」と感じる内容でも、お気軽にご相談ください。
このようなサポートを行っています
日々の人事・労務相談や採用・定着支援、総務・人事業務のアウトソーシングなど、状況に合わせて幅広く対応しています。
例えば、次のようなサポートをご提供しています。
- 総務・人事業務のアウトソーシング
- 採用活動や職員の定着に関するご相談
- 日々の人事・労務、職員対応・トラブル予防に関するご相談
- 就業規則・各種規程の作成、見直し
- 人事・労務業務のDX化、効率化に関するご相談
- ハラスメント防止体制の整備
- 社会保険・労働保険の各種手続き
このようなご相談をいただいています
人事・労務に関して、次のようなご相談をいただくことがあります。
- 担当者がいないため、総務・人事業務を任せたい
- 採用や職員の定着について相談したい
- 職員への対応や日々の労務管理について相談したい
- 就業規則や職場のルールを見直したい
- 人事・労務業務を効率化し、負担を減らしたい
- 制度改正への対応に不安がある
- 人事・労務について気軽に相談できる相手がほしい
「何から相談すればよいのか分からない」という場合でも構いません。
現在のお悩みや状況をお聞きしながら、一緒に整理していきますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
ご相談・お問い合わせ方法
ご相談・お問い合わせは、お問い合わせフォームまたは公式LINEから受け付けています。
また、法改正や制度改正など、実務に影響のある最新情報をブログで公開した際には、公式LINEでご案内しています。
制度を正しく理解し、安心して働ける職場づくりをお手伝いいたします。
ご相談・お問い合わせ
お気軽にお問い合わせください









コメント