
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、社会保険労務士の関谷です。
今回は、障害者雇用状況報告で特に間違えやすい「人数のカウント」に絞って整理していきます。
障害者雇用状況報告は、障害者雇用義務がある事業主(従業員を40人以上雇用)に対し、毎年6月1日現在の状況について、7月15日までに所轄のハローワークへ報告するよう義務付けられているものです。
障害者雇用状況報告では、「人数をそのまま数える」のではなく、ルールに沿ってカウントする必要があります。
この記事では、0.5カウントや2カウントといった具体的な数え方と、よくある間違いを分かりやすく解説します。
障害者雇用のカウントはどう考える?
障害者雇用の人数は「実人数」ではなく「ルールに基づいたカウント」で判断されます。
障害者雇用状況報告では、単純に「何人いるか」を数えるわけではありません。
同じ1人でも、
- 障害の程度
- 労働時間
によって、カウントの数字が変わります。
そのため、
「人数=そのまま1」ではない
という点を最初に押さえておくことが大切です。
具体的なカウント方法(1・0.5・2の違い)
カウントは「1・0.5・2」に加え、労働時間の区分によって決まります。
障害者のカウントは、「障害の程度」と「週の所定労働時間」の組み合わせで決まります。

※出典:障害者雇用率制度について(厚生労働省)
イメージ例
- Aさん(30時間以上・身体障害)→ 1カウント
- Bさん(30時間以上・重度身体障害)→ 2カウント
- Cさん(25時間勤務・身体障害)→ 0.5カウント
- Dさん(25時間・重度身体障害)→ 1カウント
- Eさん(15時間・重度身体障害)→ 0.5カウント
表を見ると、「労働時間」と「障害の区分」の組み合わせによって、カウントが変わることが分かります。
特に間違えやすいのは、次の3点です。
- 重度かどうかでカウントが変わる
- 週の労働時間によって0.5になるケースがある
- 10時間以上20時間未満は対象が限られている
「1人=1カウント」と考えてしまうとズレやすいので、
必ず条件ごとに確認してからカウントすることが大切です。
なぜカウントミスが起きやすいのか?
カウントミスは「感覚で数えてしまうこと」が主な原因です。
よくある原因はシンプルです。
- 「1人だから1」と思い込む
- 重度の判断をあいまいにしている
- 労働時間を正確に見ていない
特に、“なんとなく数える”ことが一番の原因です。
よくある誤解と注意点
よくある誤解を知っておくことで、カウントミスは事前に防ぎやすくなります。
■ よくある誤解
- 重度=すべて2カウントになる
- 短時間でも1人だから1カウント
- 手帳があれば自動的にカウントできる
実際には、条件を満たしているかの確認が必要です。
会社として気をつけたいチェックポイント
カウント前に「区分・労働時間・手帳」の3点を確認することが重要です。
最低限、次の3点は確認しておきたいところです。
- 障害の区分(重度かどうか)
- 週の所定労働時間
- 障害者手帳の有無・内容
この3つが揃わないと、正しいカウントはできません。
実務での進め方(確認手順)
一度一覧に整理してからカウントすると、ミスを防ぎやすくなります。
おすすめの流れは次の通りです。
① 対象者を一覧にする
② 手帳・区分を確認する
③ 労働時間を確認する
④ 0.5・1・2に振り分ける
⑤ 最後に合計を見直す
特に最後に、
「0.5と2が正しく混ざっているか」
を見直すとミスに気づきやすくなります。
よくある質問
Q. 途中で手帳を確認できた場合はどうなりますか?
基準日(6月1日)の状況で判断し、作成します。
(参考)障害者雇用状況報告と障害者雇用納付金制度の違いは?
似ている制度ですが、「目的」と「提出先」が異なる点が大きな違いです。
障害者雇用状況報告と混同されやすい制度として、「障害者雇用納付金制度」があります。
どちらも、
- 障害者の人数
- 労働時間
をもとに計算するため、似ているように見えますが、目的が異なります。
■障害者雇用状況報告(今回のテーマ)
- 毎年6月1日時点の障害者雇用状況を7月15日までにハローワークへ提出
- 常時雇用する労働者が40人以上の事業主
- 雇用率の達成状況などの確認に使われる
- 毎年の雇用状況を国が把握するためのもの
■ 障害者雇用納付金制度
- 4月1日~5月15日までに(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)へ申告
- 常時雇用する労働者が100人を超える事業主
- 障害者を雇用する企業と雇用していない企業との負担の不均衡を是正し、全体として雇用を促進する制度
- 雇用率を達成できなかった企業から納付金を徴収し、達成している企業には報奨金が支給される
■ 混同しやすいポイント
- どちらも人数のカウントが必要
- 労働時間の考え方も似ている
- 年1回の対応が必要
ただし、「提出先」と「制度の目的」はまったく別です。
まとめ
障害者雇用のカウントは、「人数」ではなく「ルール」に基づいて行う必要があります。
特に、重度かどうか・労働時間の違いによって、0.5・1・2と数字が変わる点が重要です。
また、似ている制度として納付金制度もありますが、目的や提出先が異なる点も押さえておくと安心です。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント
障害者雇用のカウントは「人数」ではなく「ルール」で数え、制度の違いも整理しておくことが重要です。
※制度内容は変更される可能性があるため、最新情報もあわせて確認しておくと安心です。
公式資料
障害者雇用状況報告書及び記入要領等(厚生労働省)
障害者雇用率制度について(厚生労働省)
障害者雇用状況報告(e-GOV)
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