
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、社会保険労務士の関谷です。
「年収の壁はどうなるの?」「扶養から外れやすくなるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、令和8年(2026年)4月から見直される健康保険の被扶養者認定における「収入要件の見直し」について解説します。
金額基準が変わるのではなく、「収入の考え方」が変わる点がポイントです。
企業側・従業員側のどちらにもわかりやすく整理します。
※この記事は「令和8年の法改正スケジュール一覧」で紹介した「健康保険の被扶養者認定の収入要件見直し」の詳細記事です。令和8年の法改正全体を確認したい方は、親記事もあわせてご覧ください。
令和8年の法改正スケジュール一覧|人事・労務担当者がまず把握しておきたい全体像
健康保険の被扶養者認定とはどんな制度ですか?
被扶養者認定は、家族を健康保険の扶養に入れられるかどうかを判断する制度です。
健康保険では、一定の条件を満たせば、配偶者や子どもなどを「被扶養者」として加入させることができます。
主な条件は、
- 被保険者(会社員など)によって主に生計を維持されていること
- 年間収入が一定額未満であること
といったものです。
一般的には「年間130万円未満」などが基準として知られていますが、実際には生活実態や同居・別居の状況なども含めて判断されます。
今までの年収の考え方はどうなっていましたか?
これまでは「今後1年間の収入見込み」で判定し、残業代も含めて計算していました。
これまでの被扶養者認定では、
過去・現在の状況をもとに「今後1年間の収入見込み」で判断する
という考え方がとられていました。
その際、時間外労働の割増賃金(残業代)なども含めて、あらゆる収入が対象とされていました。
そのため、
- 予定外の残業が増えた
- 一時的に収入が増えた
といった場合、計算した結果、基準を超える可能性がありました。
特に年末が近づくと、「このまま働くと扶養から外れてしまうのでは」と不安になり、
シフトを減らしたり残業を断ったりする、いわゆる“働き控え”が起こることもありました。
これが、いわゆる「年収の壁」を意識して働き方を調整する背景のひとつになっていました。
何が見直されるのですか?金額は変わるのですか?
金額基準は変わらず、収入の“計算のしかた”が見直されます。
今回の見直しのポイントはここです。
扶養の金額基準が変わるのではなく、
残業代のように事前に予測できない収入は年収に含めない、という“計算のしかた”が変わります。
具体的には、
- 労働契約に明確な規定がない
- 契約締結時点で見込むことが難しい
こうした収入(たとえば時間外労働に係る賃金や臨時の賞与など)については、被扶養者認定の年間収入に含めないこととされる予定です。
また、当初は想定していなかった残業などにより、結果的に年間収入が基準を超えた場合でも、その収入が社会通念上妥当な範囲にとどまる場合には、それだけを理由に扶養から外すことはしない、という考え方が明確化されます。
年収の壁との関係はどう考えればよいですか?
年収の壁がなくなるわけではありませんが、働き控えを減らす方向の見直しです。
「年収の壁」という言葉はよく聞きますが、今回の見直しで金額そのものがなくなるわけではありません。
ただし、
- 残業が少し増えただけで扶養から外れるのではないか
- 想定外の収入増で不安になる
といった状況は、これまでより起こりにくくなります。
目的は、被扶養者認定の「予見可能性」を高めることです。
つまり、
「どのくらい働いたら扶養から外れるのか」が分かりやすくなり、
過度な就業調整(働き控え)を避けることが狙いです。
会社として気をつけたい実務ポイントは?
労働契約の内容を明確にしておくことが重要になります。
企業側としては、次の点を確認しておきたいところです。
- 労働条件通知書や雇用契約書に、基本給や所定労働時間が明確に記載されているか
- 契約上予定されている手当と、臨時的な手当が整理されているか
- 従業員から扶養に関する相談があった場合、説明できる体制があるか
特にパート・アルバイトの方が多い職場では、
「残業をすると扶養から外れるのでは」という不安を持っている方も少なくありません。
今回の見直しの趣旨を踏まえ、必要以上の不安を与えない説明ができるようにしておくことが大切です。
公式資料
健康保険の被扶養者認定の基本的な仕組みや、年間収入の判断基準については、日本年金機構の公式ページが参考になります。
制度の基本条件や収入基準の考え方が整理されていますので、具体的な確認をしたい場合は一度目を通してみてください。
よくある質問
Q1. 基準の130万円はなくなりますか?
なくなりません。金額基準そのものが変わるわけではありません。
Q2. すべての残業代が対象外になりますか?
契約締結段階で見込めない収入が対象です。個別の状況により判断されますので、詳細については協会けんぽや健康保険組合へ確認する必要があります。
Q3. すぐに対応が必要ですか?
施行は令和8年4月以降とされています。今すぐ制度変更が必要というわけではありませんが、内容を理解しておくことは重要です。
まとめ
- 令和8年(2026年)4月から、被扶養者認定の「収入の計算方法」が見直される
- 年間の金額基準そのものは変わらない
- 残業代など、契約時にあらかじめ読めない収入は年収に含めないことになる
- 一時的に収入が増えても、それだけで直ちに扶養から外れるわけではない
- 目的は、過度な就業調整を減らすこと
制度は少しずつ変わっていますが、大切なのは「正しく理解すること」です。

社会保険労務士 関谷聡の実務ワンポイント
健康保険の被扶養者認定は、金額が変わるのではなく、
「どの収入を年収に含めるか」という計算方法が見直されます。
※本記事は執筆時点の制度内容をもとに整理しています。
制度は今後変更される可能性がありますので、最新情報は公的機関でご確認ください。
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