令和8年度の雇用関係助成金まとめ|受給対象・助成金検索表を解説

こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、社会保険労務士の関谷です。

雇用関係助成金は種類が多く、「自社が対象になるのか分からない」「まず何を確認すればいいのか迷う」ということも多い制度です。

今回は、厚生労働省の「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」のP1~6をもとに、まず確認したい基本事項と、助成金検索表をご紹介します。

この記事では、令和8年度の雇用関係助成金について、

  • 受給対象となる事業主
  • 支給申請期間
  • 不支給要件
  • 助成金検索表

を整理しています。

「どんな会社が対象になるのか」「どんな場合に不支給になるのか」を確認したうえで、自社に関係しそうな・取り組めそうな助成金を探してみてください。

目次

受給対象となる事業主とは?

雇用関係助成金は、雇用保険適用事業所であり、期限内申請や審査協力などの条件を満たす事業主が対象です。

雇用関係助成金は、すべての事業主が受給できるわけではありません。

まずは、共通の受給対象要件を満たしている必要があります。

対象となる事業主は、次のとおりです。

  • 雇用保険適用事業所の事業主

ここでいう「雇用保険適用事業所」とは、支給申請日および支給決定日時点で、雇用保険被保険者が存在する事業所の事業主であることを指します。

 

  • 期間内に申請を行う事業主

 

  • 支給のための審査に協力する事業主

審査への協力として、次のような対応が求められます。
  ・審査に必要な書類を整備・保管する
  ・労働局やハローワーク等から書類提出を求められた場合に応じる
  ・労働局やハローワーク等からの実地調査に応じる

なお、これらを満たしていても、各助成金ごとの個別要件も満たす必要があります。

中小企業事業主の範囲

雇用関係助成金は主として「中小企業事業主」に該当する事業主が対象となります(一部助成金については大企業も対象となっているものもあります)。

一般的な中小企業事業主の範囲

業種資本金・出資総額常時雇用労働者数
小売業(飲食店含む)5,000万円以下または50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他業種3億円以下300人以下

※医療法人などで資本金・出資金を有している事業主についても、上記の表の「資本金の額・出資の総額」または「常時雇用する労働者の数」により判定します。

ここでは詳細は割愛しますが、以下の助成金については、別の基準があります。
詳細につきましては、記事の最後にあります公式資料をご確認ください。

・人材確保等支援助成金(中小企業団体助成コース)
・両立支援等助成金

支給申請期間はいつまで?

支給申請期間は、原則として、各助成金の支給要領に定める日の翌日から起算して2か月以内とされています。

また、郵送申請の場合は、支給申請期間内に到達していることが必要です。

助成金は「条件を満たしていても、期限を過ぎると申請できない」ということがあります。

制度確認だけでなく、スケジュール管理も重要です。

不支給要件にはどんなものがある?

受給対象事業主であっても、次のいずれかに該当する場合は、雇用関係助成金を受給できません。

不正受給に関するもの

  • 不正受給による不支給決定または支給決定取消から5年経過していない
  • 不正受給に関与した役員等がいる

なお、不正受給には、代表者だけでなく、従業員や社会保険労務士による不正行為も含まれます。

労働保険料に関するもの

  • 支給申請した年度の前年度より前のいずれかの年度の労働保険料を納付していない

ただし、一定期間内に納付した場合を除きます。

労働関係法令違反

  • 支給申請日前日から過去1年間に労働関係法令違反がある

一定業種に関するもの

  • 性風俗関連営業
  • 接待を伴う飲食等営業
  • 上記営業の一部の受託営業

などを行う事業主

※例外的に対象となる場合があります。

反社会的勢力との関係

  • 暴力団との関係
  • 暴力主義的破壊活動を行う団体との関係

などがある場合

倒産している場合

  • 支給申請日または支給決定日時点で倒産している

調査協力に応じない場合

  • 書類提出に応じない
  • 実地調査に応じない
  • 必要書類を保管していない

など

その他

  • 役員等一覧を提出していない
  • 助成金の支給要領に従うことを承諾していない
  • 虚偽記載や虚偽証明を行った

このほかに各種助成金ごとの個別要件を満たさない場合も受給できません。

詳しくは「令和8年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」(厚生労働省)P2の不支給要件及び各種助成金リーフレット等の個別要件をご確認ください。

勘違いしやすいポイント

助成金は「あとから書類を整えればよい」という制度ではありません。

助成金では、

  • 就業規則
  • 労働者名簿
  • 出勤簿
  • 賃金台帳
  • 有給休暇管理簿
  • 雇用契約書

など、日頃からの労務関係書類管理が非常に重要です。

申請時や調査時に整備状況について、申請内容と各種書類の日付などの整合性が取れているかなどをしっかりと確認されます。

「雇用関係助成金」検索表

以下でご紹介する内容は、「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」(厚生労働省)より抜粋したものになります。

「助成の対象となる取組」を見ながら、どのような助成金が自社で活用できそうかを確認する際の参考としてご活用ください。

労働者の雇用維持を図る(A 雇用維持関係の助成金)

助成の対象となる取組助成金名
経営が悪化する中で、休業や教育訓練、出向を通じて労働者の雇用を維持する雇用調整助成金
能登半島地震に伴う経営悪化の中で、出向により労働者の雇用を維持・確保する産業雇用安定助成金
(災害特例人材確保支援コース)
助成の対象となる取組助成金名
経営が悪化する中で、休業や教育訓練、出向を通じて労働者の雇用を維持する雇用調整助成金
能登半島地震に伴う経営悪化の中で、出向により労働者の雇用を維持・確保する産業雇用安定助成金
(災害特例人材確保支援コース)

在籍型出向を支援する(B 在籍型出向支援関係の助成金)

助成の対象となる取組助成金名
労働者のスキルアップを在籍型出向により行い、出向復帰後の賃金を上昇させる産業雇用安定助成金
(スキルアップ支援コース)

離職する労働者の再就職支援を行う(C 再就職支援関係の助成金)

助成の対象となる取組助成金名
離職を余儀なくされる労働者の再就職支援を民間職業紹介事業者に委託する早期再就職支援等助成金
( 再就職支援コース)
離職を余儀なくされる労働者を早期に雇い入れ、当該労働者の賃金を上昇させる早期再就職支援等助成金
(雇入れ支援コース)

中途採用する(D 転職・再就職拡大支援関係の助成金)

助成の対象となる取組助成金名
雇用期間の定めのない労働者の中途採用を拡大する早期再就職支援等助成金
(中途採用拡大コース)

新たに労働者を雇い入れる(E 雇入れ関係の助成金)

助成の対象となる取組助成金名
継続して雇用する労働者として雇い入れる高年齢者・身体障害者・知的障害者・精神障害者・母子家庭の母等特定求職者雇用開発助成金
(特定就職困難者コース)
発達障害者・難病患者特定求職者雇用開発助成金
(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
就職氷河期世代を含む中高年層特定求職者雇用開発助成金
(中高年層安定雇用支援コース)
自治体から要請があった生活保護受給者等特定求職者雇用開発助成金
(生活保護受給者等雇用開発コース)
一定期間試行的に雇い入れる安定就業を希望し、離転職を繰り返す者等トライアル雇用助成金
(一般トライアルコース)
障害者トライアル雇用助成金
(障害者トライアルコース)
短時間労働の精神障害者・発達障害者トライアル雇用助成金
障害者短時間トライアルコース)
若年者(35歳未満)または女性の建設労働者トライアル雇用助成金
(若年・女性建設労働者トライアルコース)
雇用情勢が特に厳しい地域等に居住する地域求職者等を雇い入れる地域雇用開発助成金
(地域雇用開発コース)
沖縄県内に居住する35歳未満の求職者を雇い入れる地域雇用開発助成金
(沖縄若年者雇用促進コース)
生産性向上に資する取組等に必要な新たな人材を雇い入れる産業雇用安定助成金
( 産業連携人材確保等支援コース)

労働者の雇用環境の整備を図る(F 雇用環境の整備関係等の助成金)

助成の対象となる取組助成金名
障害者の障害特性による就労上の課題を克服する作業施設等を設置・整備する障害者作業施設設置等助成金
障害者の福祉の増進を図るための福祉施設等を設置・整備する障害者福祉施設設置等助成金
障害者の介助または職場定着のための措置を実施する障害者介助等助成金
職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援を実施する職場適応援助者助成金
障害者の通勤を容易にするための措置を実施する重度障害者等通勤対策助成金
重度障害者を多数継続雇用する事業施設等の整備等を実施する重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
障害者の雇入れや雇用継続のために必要な一連の雇用管理に関する援助を実施する障害者雇用相談援助助成金
雇用管理制度や業務負担軽減機器等の導入を通じて従業員の離職率の低下を図る人材確保等支援助成金
(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)
人材確保や労働者の職場定着を支援するための事業を実施する人材確保等支援助成金
(中小企業団体助成コース)
建設キャリアアップシステムを活用した雇用管理改善の取組を実施する人材確保等支援助成金
(建設キャリアアップシステム等活用促進コース)
現場見学会、体験実習等の若年および女性の入職・定着を図る事業を実施する人材確保等支援助成金
(若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野))
女性専用作業員施設(トイレ等)や作業員施設(石川県)を設置する人材確保等支援助成金
(作業員宿舎等設置助成コース(建設分野))
外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行う人材確保等支援助成金
(外国人労働者就労環境整備助成コース)
テレワークの導入・実施を通じて従業員の離職率の低下を図る人材確保等支援助成金
(テレワークコース)
季節労働者を通年雇用する通年雇用助成金
65歳以上への定年引上げ等を実施する65歳超雇用推進助成金
(65歳超継続雇用促進コース)
高年齢者の雇用管理制度の整備等に係る措置を実施する65歳超雇用推進助成金
(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)
高年齢者の無期雇用労働者への転換を実施する65歳超雇用推進助成金
(高年齢者無期雇用転換コース)
有期雇用労働者等(契約社員・パート・派遣社員など)を正社員転換するキャリアアップ助成金
(正社員化コース)
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換するキャリアアップ助成金
(障害者正社員化コース)
賃金規定等の増額改定により有期雇用労働者等の賃金の引上げを実施するキャリアアップ助成金
(賃金規定等改定コース)
有期雇用労働者等に正規雇用労働者と共通の賃金規定等を導入するキャリアアップ助成金
(賃金規定等共通化コース)
有期雇用労働者等に賞与・退職金制度を導入するキャリアアップ助成金
(賞与・退職金制度導入コース)
短時間労働者を新たに社会保険の被保険者とする際に、処遇改善を実施するキャリアアップ助成金
(短時間労働者労働時間延長支援コース)

仕事と家庭の両立支援に取り組む(G 仕事と家庭の両立支援関係等の助成金)

助成の対象となる取組助成金名
男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境や業務体制の整備を行う両立支援等助成金
(出生時両立支援コース)
介護支援プランを策定し、労働者が介護休業や介護両立支援制度を利用する両立支援等助成金
(介護離職防止支援コース)
育休復帰支援プランを策定し、育児休業の円滑な取得・職場復帰に取り組む両立支援等助成金
(育児休業等支援コース)
労働者の育児休業や短時間勤務の期間中に他の労働者が業務を代替する両立支援等助成金
(育休中等業務代替支援コース)
育児中の労働者が利用できる柔軟な働き方に関する制度を導入する両立支援等助成金
(柔軟な働き方選択制度等支援コース)
事業所内保育施設を設置・運営・増築する
※現在、新規の申請受付を停止しています
両立支援等助成金
(事業所内保育施設コース)
不妊治療、女性の健康課題(月経、更年期)に対応するための制度導入等の整備を行う両立支援等助成金
(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)

労働者の職業能力の向上を図る(H 人材開発関係の助成金)

助成の対象となる取組助成金名
職務に関連した10時間以上の訓練等を実施する人材開発支援助成金
(人材育成支援コース)
有給の教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得して訓練を受ける人材開発支援助成金
(教育訓練休暇等付与コース)
建設関連の認定訓練を実施する、または雇用する建設労働者に受講させる人材開発支援助成金
(建設労働者認定訓練コース)
雇用する建設労働者に建設工事の作業に直接関連する実習を受講させる人材開発支援助成金
(建設労働者技能実習コース)
デジタルなど成長分野を支える人材の育成を目的とした訓練等を実施する人材開発支援助成金
(人への投資促進コース)
事業展開等に伴い新たな分野で必要となる知識や技能を習得させる人材開発支援助成金
(事業展開等リスキリング支援コース)
障害者に対して能力開発訓練事業を実施する障害者能力開発助成金
事業所での作業環境へ適応させるための訓練を行う職場適応訓練費

ご紹介した内容は、「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」(厚生労働省)より抜粋したものになります。

なお、 実際の助成金は、それぞれに細かな要件や申請手続き、対象範囲などが定められています。そのため、具体的に活用を検討する場合は、厚生労働省が公表している各助成金のリーフレット・支給要領もあわせて確認するようお願いいたします。

まとめ

助成金は種類が多いため、まずは対象事業主や不支給要件を確認し、自社に合う取り組みを確認することが大切です。

雇用関係助成金は、

  • 雇用維持
  • 人材採用
  • 職場環境改善
  • 両立支援
  • 人材育成

など、さまざまな目的に応じて用意されています。

ただし、制度ごとに細かい要件や申請期限がありますので、書類管理や事前準備も重要です。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント

雇用関係助成金は、自社の採用・定着・育成などの目的に合った制度を確認し、求められる取り組みと併せて、普段の労務管理状況も整備・見直ししていくことが大切です

なお、令和8年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)(厚生労働省)では、今回ご紹介した「雇用関係助成金」のほかに、

  • 職場環境の改善
  • 生産性向上
  • 賃金引上げ
  • 労働時間の見直し

などに関する「労働条件等関係助成金」も紹介されています。

今回は記事量の関係で省略していますが、会社の取組内容によっては活用できる場合がありますので、必要に応じてご確認ください。

※この記事は令和8年4月8日時点のものになります。最新情報は厚生労働省の公表資料をご確認ください。

公式資料

令和8年度雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)(厚生労働省)

事業主の方のための雇用関係助成金(厚生労働省)

申請に係るQ&A(厚生労働省)

お問い合わせについて

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なお、当事務所では、就業規則の作成・変更や各種手続きに加え、

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この記事を書いた人

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