
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、
社会保険労務士の関谷です。
「パートと正社員で待遇が違うのは普通では?」と思われることもありますが、
最近は“差がある理由を説明できるか”がより重要になっています。
東京都の「パートタイマーに関する実態調査」では、
約7割のパートタイマーが「正社員との待遇差に不合理さを感じる」と回答しました。
この記事では、調査結果をもとに、
- どんな点で不満が出やすいのか
- 会社側が気をつけたいポイント
- 同一労働同一賃金との関係
を、できるだけわかりやすく整理します。
パートの7割が「不合理な待遇差」を感じているのはなぜ?
待遇差そのものより、「なぜ差があるのか分からない状態」が不満につながりやすい点です。
東京都の調査では、都内中小企業で働くパートタイマーの約7割が、正社員との間に何らかの不合理な待遇差を感じていると回答しています。
以前から、
- パートだから時給制
- 正社員だから賞与あり
という形は一般的でした。
ただ、現在は「雇用形態が違うから」で説明が終わる時代ではなくなっています。
特に同一労働同一賃金の考え方では、
- 仕事内容
- 責任の重さ
- 配置転換の有無
- 人材活用の仕組み
などを踏まえて、待遇差に合理的な理由があるかが重視されます。
そのため、会社側に悪気がなくても、
「何となく昔からこうしている」
という制度は、従業員側から不公平感につながることがあります。
特に不満が多かったのは「賞与」と「退職金」
支給基準が見えにくい制度ほど、不公平感が生まれやすい傾向があります。
調査で特に割合が高かったのは、
- 賞与
- 退職金
- 基本給
- 各種手当
でした。
特に賞与は、半数以上が不合理な差を感じています。
「賞与がない=違法」ではない
ここで誤解されやすいのですが、「パートに賞与がないと違法」というわけではありません。
問題になりやすいのは、
- 何のための賞与なのか
- どんな働きを評価しているのか
- 正社員とパートで役割差があるのか
が整理されていないケースです。
例えば、
- 長期的な人材確保
- 将来の役割期待
- 配置変更への対応
- 業績への関与
など、制度趣旨との関係が説明できるかが重要になります。
よくある誤解
「パートにも正社員と全く同じ待遇をしないといけない」
というイメージを持たれることがありますが、一般的には必ずしもそうではありません。
一方で、
「違いがある理由を説明できない」
状態は、後から問題化しやすくなります。
「同じ仕事なのに賃金が低い」と感じる背景
「仕事内容が近づいているのに制度だけ昔のまま」という状態が起こりやすくなっています。
調査では、
「業務内容と責任の程度が同じ正社員がいる」
と回答したパートのうち、約半数が賃金に納得していないと回答しています。
最近は人手不足もあり、
- パートが中心業務を担当する
- ベテランパートが新人正社員を教える
- 責任範囲が広がる
といった職場も増えています。
一方で、制度側は昔のままで、
- 時給の決め方が曖昧
- 評価制度がない
- 昇給基準が不透明
というケースも少なくありません。
すると、
「実際には重要な仕事をしているのに、扱いが変わらない」
という不満につながりやすくなります。
会社側は「問題ない」と考えているケースも多い
会社側と従業員側で“認識のズレ”が起きている点が大きな課題です。
企業側調査では、
「不合理な待遇差がないことを確認したので、特に対応していない」
という回答が最も多くなっています。
もちろん、本当に問題がないケースもあります。
ただ、中小企業では、
- 制度を文書化していない
- 説明の機会が少ない
- 慣例運用になっている
ことも多く、会社側と従業員側で認識がズレることがあります。
会社として気をつけたいポイント
重要なのは、
「差があるか」だけでなく、
「説明できる状態になっているか」
です。
例えば、
- 手当の目的
- 昇給基準
- 賞与対象の考え方
- 正社員との役割差
などを整理しておくことで、トラブル予防につながりやすくなります。
会社として見直したいポイントは?
まずは「制度の整理」と「説明できる状態づくり」から始めるのが現実的です。
すぐに大きな制度変更をする必要があるとは限りません。
まずは以下の確認がおすすめです。
チェックしたいポイント
- 正社員とパートの仕事内容に大きな差があるか
- 手当の目的を説明できるか
- 賞与や退職金の基準が整理されているか
- 昇給ルールが曖昧になっていないか
- 就業規則や賃金規程が現状と合っているか
「制度そのもの」だけでなく、
- 実際の運用
- 現場での説明
- 従業員の受け取り方
まで含めて確認することが大切です。
よくある質問
パートにも必ず賞与を支払う必要がありますか?
一般的には、必ずしも全員に同じ形で支給しなければならないわけではありません。
ただし、制度趣旨や役割との関係を説明できるかは重要になります。
手当を正社員限定にしても大丈夫ですか?
一般的には、「正社員だけに支給している」という理由だけでは足りず、
手当の目的や働き方の違いとの関係が重要になります。
厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインでは、
「不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる。」
とされており、手当についても、
- その手当が何のためのものか
- 業務内容や責任に違いがあるか
- 配置変更の範囲に差があるか
などを踏まえて判断する考え方が示されています。
例えば、
- 転居を伴う配置変更への対応
- 特定の役割や責任
- 継続的な勤務への期待
など、手当の趣旨と実態が結びついているかがポイントになります。
一方で、
「昔から正社員だけに出している」
という状態だと、説明が難しくなるケースもあります。
まとめ
パートと正社員で待遇が異なること自体は、直ちに問題になるとは限りません。
ただ、
- 仕事内容が近づいている
- 制度が昔のまま
- 説明が曖昧
という状態は、不満やトラブルにつながりやすくなります。
特に最近は、「会社としてどう考えているか」を従業員が重視する傾向も強くなっています。
一度、自社の制度や運用を整理してみることが、結果的に働きやすさや定着率にもつながるかもしれません。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント
待遇差そのものより、「なぜ差があるのかを説明できるか」がますます重要になっています。
公式資料
同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省)
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