年金から引かれる所得税が変わる?令和8年度税制改正のポイントを解説

こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、

社会保険労務士の関谷です。

今回は、日本年金機構から公表された

「令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項」について、

年金を受け取っている方にも分かりやすいように整理します。

令和8年度税制改正により、公的年金から差し引かれる所得税や、

扶養親族等申告書の取扱いが一部見直されました。

この記事では、

「年金額が変わる話なのか」

「どんな人に影響があるのか」

「申告書が届いたらどう考えればよいのか」を中心に解説します。

目次

年金に関する税金は何が変わったのでしょうか?

基礎控除の引上げに伴い、公的年金から所得税が源泉徴収されない年金額の基準が引き上げられました

令和8年度税制改正により、所得税の基礎控除が引き上げられました。

基礎控除とは、所得税を計算するときに、

所得から差し引くことができる基本的な控除のことです。

これに伴い、公的年金から所得税が源泉徴収されるかどうかの基準となる年金額も見直されています。

源泉徴収とは、年金の支払い時に、あらかじめ所得税が差し引かれる仕組みのことです。

具体的には、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が、

65歳以上の方は現行の205万円未満から214万円未満へ、

65歳未満の方は現行の155万円未満から164万円未満へ引き上げられました。

つまり、これまで所得税が源泉徴収されていた方でも、

改正後は源泉徴収されなくなる場合があります。

なお、これは年金額そのものが増えるという改正ではありません。

あくまでも、年金から差し引かれる所得税の計算基準が見直されたものです。

改正内容はいつ反映されるのでしょうか?

今回の改正を見て、

「所得税が少なくなるなら、次の年金支払いから反映されるのでは?」

と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、令和8年分の所得税については、令和8年11月の年金支払いまでは、

改正前の基礎控除額を用いて所得税が源泉徴収されます。

その後、令和8年12月の年金支払い時に、

改正後の基礎控除額を反映した1年分の所得税額を計算し、

それまでに源泉徴収した税額との精算が行われます。

その結果、納め過ぎとなっていた所得税がある場合は、

原則として12月の年金支払い時に還付されます。

そのため、「11月まで所得税が変わっていない」と感じても、すぐに誤りとは限りません。

まずは12月の支払い時に精算されることを知っておくと安心です。

扶養親族等の所得要件はどう変わったのでしょうか?

扶養控除などの対象となる家族の所得要件が広がり、新たに控除を受けられる場合があります。

基礎控除の引上げにあわせて、扶養控除などの対象となる扶養親族等の所得要件も見直されました。

これまで合計所得金額58万円以下だった要件が、62万円以下へ引き上げられています。

この改正により、これまで扶養控除の対象ではなかった方が、新たに対象となる場合があります。

ただし、令和8年分の所得税で新たに扶養控除などの適用を受ける場合は、

原則として確定申告が必要とされています。

年金から差し引かれる所得税だけでは、この変更が自動的に反映されないケースがあるためです。

ここで注意したいのは、「58万円」「62万円」は収入金額そのものではなく、

合計所得金額の基準だという点です。

給与や年金などは、収入から一定の控除を差し引いた後の金額が所得として扱われます。

そのため、「収入が62万円を超えたら必ず対象外」という意味ではありません。

扶養するご家族の所得状況に変化があった方は、一度確認しておくと安心です。

扶養親族等申告書の提出対象はどう広がるのでしょうか?

令和9年分からは、住民税の控除を受けるために扶養親族等申告書の提出が必要となる方が増えます。

扶養親族等申告書とは、年金を受け取る方が、

配偶者や扶養親族などの控除を受けるために提出する書類です。

これまでは、主に所得税の源泉徴収の対象となる方が、

日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出していました。

令和8年度税制改正により、

令和9年分からは、年金受給者が個人住民税の各種控除を受けようとする場合にも、

日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出することとされました。

これに伴い、個人住民税の課税対象となる可能性がある年金額以上の方へ、

令和9年分の扶養親族等申告書が送付されます。

日本年金機構では、

65歳以上の場合は年金額148万円以上の方、

65歳未満の場合は年金額98万円以上の方に対して、

令和8年10月より順次送付すると案内しています。

「今まで届かなかったのに、今回は申告書が届いた」という場合でも、慌てる必要はありません。

制度改正により、提出対象となる範囲が広がったことが理由の一つとして考えられます。

届いた際は、内容を確認し、必要に応じて提出しましょう。

勘違いしやすいポイント

今回の改正は「年金額の改定」ではなく、「税金の計算方法や申告書の対象範囲」の見直しです。

今回の改正で勘違いしやすいのは、

「年金額が増えるのか」「全員が手続きをしなければならないのか」という点です。

今回の見直しは、年金額そのものを変更するものではありません。

主な内容は、所得税の計算に使う控除額の見直しや、扶養親族等申告書の提出対象の拡大です。

また、扶養親族等申告書が届いたからといって、必ず税金が増えるという意味でもありません。

住民税の控除を受けるために必要な情報を確認するため、

送付対象が広がるものと考えると分かりやすいです。

会社として知っておきたいポイント

会社が直接行う手続きではありませんが、従業員やご家族から相談を受ける場面に備えて概要を知っておくと安心です。

今回の改正は、会社が直接手続きを行うものではありません。

ただし、従業員のご家族が年金を受け取っている場合や、

定年後再雇用の方がいる場合などに、

「年金の税金が変わるらしい」「申告書が届いたけれど何か問題があるのか」

と相談を受けることがあるかもしれません。

そのような場合は、まず日本年金機構から届いた案内を確認するようお伝えすることが大切です。

確定申告や住民税の具体的な判断については、

状況により税務上の確認が必要になる場合があります。

会社としては、制度の概要を知っておき、

必要に応じて専門機関へ確認する流れを案内できると安心です。

よくある質問

Q. 今回の改正で年金額が増えるのですか?

いいえ。今回の改正は、年金額そのものを増やすものではありません。

所得税の計算に使う控除額や、扶養親族等申告書の提出対象が見直されたものです。

Q. 年金から所得税が引かれなくなる人もいますか?

はい、可能性はあります。

公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が引き上げられたため、

これまで所得税が源泉徴収されていた方でも、改正後は源泉徴収されなくなる場合があります。

Q. 扶養親族等申告書が届いたら、必ず提出しなければなりませんか?

控除を受けるために必要となる場合があります。

届いた書類の内容を確認し、ご自身の扶養状況などに応じて提出を検討しましょう。

Q. 新たに扶養控除の対象になる場合はどうすればよいですか?

令和8年分の所得税で新たに扶養控除などの適用を受ける場合は、

原則として確定申告が必要とされています。

ご自身の状況に応じて、税務署や税理士などへ確認すると安心です。

まとめ

令和8年度税制改正により、公的年金に関する所得税や扶養親族等申告書の取扱いが一部見直されました。

主なポイントは、次の3つです。

1つ目は、基礎控除の引上げに伴い、公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額が引き上げられたことです。

2つ目は、扶養控除などの対象となる扶養親族等の所得要件が、合計所得金額58万円以下から62万円以下へ見直されたことです。

3つ目は、令和9年分から、個人住民税の控除を受ける場合にも、扶養親族等申告書の提出が必要となる方が増えることです。

今回の改正は、年金額そのものを変更するものではありません。

「税金の計算方法」や「申告書の提出対象」が変わるものとして整理すると、理解しやすいと思います。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント

令和8年度税制改正により、年金額そのものではなく、年金から差し引かれる所得税の基準や扶養親族等申告書の提出対象が見直されました。

なお、制度は今後も変更される場合があります。最新の情報は、

日本年金機構や国税庁などの公表資料をご確認ください。

公式サイト

令和8年度税制改正による公的年金等に係る主な改正事項(日本年金機構)

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この記事を書いた人

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