
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、
社会保険労務士の関谷です。
社会保険労務士として、法令に基づいた適切な労務管理を通じて、働く方が安心して働ける職場づくりと、経営者が本業に専念できる環境づくりをサポートしています。
新潟県の最低賃金は、2026年10月1日から1時間1,108円に引き上げられます。
この記事では、「時給1,108円未満の人だけ確認すればよいのか」「月給制の場合はどう考えるのか」など、最低賃金の改正にあたって会社が確認しておきたいポイントを、できるだけ分かりやすく整理します。
関連記事:月給制の最低賃金はどう計算する?対象となる手当と会社が確認したいポイント
新潟県の最低賃金はいつからいくらになる?
2026年10月1日から新潟県最低賃金は1,108円になるため、それまでに現在の賃金が新しい最低賃金を下回らないか確認しておくことが大切です。
新潟労働局は、2026年度の新潟県最低賃金について、現在の時間額1,050円から58円引き上げ、1,108円に改正することを決定しました。
改正後の最低賃金は、2026年10月1日から適用されます。引上げ率は5.52%です。
つまり、10月1日以降に最低賃金の対象となる賃金を支払う場合、原則として1時間あたり1,108円以上となっている必要があります。
「10月になってから確認しよう」と考えるのではなく、給与計算や雇用契約の変更が必要になる可能性も考えて、9月中に対象者を洗い出しておくと進めやすいでしょう。
最低賃金1,108円の対象になるのは誰?
最低賃金は正社員だけでなく、パート・アルバイトなど雇用形態を問わず幅広い労働者に適用されるため、全従業員を一度確認するのが基本です。
「最低賃金というと、アルバイトやパートの時給だけを確認すればよいのでは?」
と思われることがあります。
しかし、新潟県最低賃金は、原則として新潟県内の事業場で働くすべての労働者に適用されます。
新潟労働局の資料でも、臨時雇用、アルバイト、歩合給などの雇用・賃金形態であっても最低賃金以上の賃金を支払う必要があると案内されています。
そのため、確認対象はたとえば次のような方です。
- 正社員
- パートタイマー
- アルバイト
- 契約社員
- 臨時で雇用している従業員
「時給で働いている人だけ」というわけではありません。
なお、派遣労働者の場合は、派遣先の事業場に適用される最低賃金を確認します。
月給制の従業員も最低賃金の確認が必要?
月給制でも時間あたりの賃金に換算して1,108円以上になっているか確認する必要があり、月給額だけを見て判断しないことがポイントです。
ここは特に見落としやすいところです。
最低賃金は「1時間あたり○円」という形で決められていますが、月給制の従業員にも関係します。
月給の場合は、最低賃金の計算対象となる賃金を、所定労働時間に応じて時間額に換算して確認します。
新潟労働局の資料をみてみると、月給制の場合の確認方法として、次のような考え方が示されています。
最低賃金の対象となる月給額 × 12か月 ÷ 年間の所定労働時間
この計算で出した1時間あたりの金額と、最低賃金1,108円を比較します。
「月給がそれなりに高いから大丈夫」とは限りません
たとえば、月給額だけを見ると最低賃金とは無関係に感じることがあります。
しかし、
- 1日の所定労働時間
- 年間休日数
- 最低賃金の計算に入る手当
- 計算に入らない手当
などによって結果が変わります。
特に、最低賃金に近い水準で給与を設定している場合は、基本給だけでなく労働時間や手当の内容まで含めて確認することが大切です。
最低賃金を確認するときに含めない賃金はある?
給与明細の総支給額をそのまま最低賃金と比べるわけではなく、通勤手当など計算に含めない賃金があるため内訳の確認が必要です。
最低賃金を確認するときに、よくある間違いがあります。
それは、
「給与として支払っているものを全部足して、最低賃金を超えていれば大丈夫」
と考えてしまうことです。
最低賃金との比較には、原則として含めない賃金があります。
新潟労働局の資料では、次のものが最低賃金の計算対象から除かれると案内されています。
- 結婚手当など、臨時に支払われる賃金
- 賞与など、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
- 時間外・休日・深夜労働に対する割増賃金
- 精皆勤手当
- 通勤手当
- 家族手当
たとえば、
「基本給だけでは1,108円を下回るけれど、通勤手当を入れれば超えている」
という場合、通勤手当を足して最低賃金をクリアしたことにはできません。
手当の名前だけで判断しないことも大切です
実際の判断では、単純に「○○手当という名前だから入る・入らない」と決められないケースもあります。
たとえば、「生活手当」という名前で家族の人数に応じて手当を支給しているようなケースでは、計算対象から除かれる「家族手当」に該当すると考えられます。
手当の支給目的や賃金規程、実際の支払い方などを確認する必要がある場合がありますので、最低賃金に近い従業員がいる場合は、給与の内訳もあわせて確認しておくと安心です。
会社は10月1日までに何を確認すればいい?
対象者の洗い出しから給与・労働時間・雇用契約の確認まで順番に進めることで、10月からの最低賃金改正に対応しやすくなります。
最低賃金が変わるときは、まず「誰の給与を上げるか」を決めるのではなく、現在の従業員について順番に確認していくと分かりやすくなります。
時給制だけでなく、月給制や日給制の従業員も含めて確認します。
特に現在の賃金が1,108円に近い方から確認すると進めやすいでしょう。
基本給だけではなく各種手当も確認します。
ただし、通勤手当など最低賃金の比較に含めないものがありますので、単純な「総支給額」で判断しないよう注意します。
月給制の場合は、給与だけでなく所定労働時間も確認します。
年間休日や1日の勤務時間を変更している会社では、以前計算した最低賃金のチェック結果がそのまま使えないこともあります。
10月1日以降に最低賃金を下回る見込みであれば、給与額の見直しが必要です。
その場合は給与計算だけでなく、
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 賃金規程
- 給与計算ソフトの設定
- 求人票に掲載している賃金
などに影響がないかも確認します。
最低賃金改正の際は、直接引上げが必要な人だけでなく、その少し上の給与水準の方とのバランスも論点になります。
たとえば、
「新人と長く勤務している従業員の時給差がほとんどなくなった」
というケースです。
法律上の最低ラインを確認することと、社内の賃金バランスをどうするかは別の問題ですが、この機会に確認しておくと今後の給与設計を考えやすくなります。
会社として気をつけたいポイント
最低賃金改正への対応は、「1,108円未満の時給だけを1,108円に変更して終了」ではない場合があります。
月給者の換算、手当の扱い、給与規程、既存社員との賃金バランスなど、周辺まで一度確認しておくことが大切です。
よくある誤解・勘違いしやすいポイント
「時給制だけ確認すればよい」「総支給額が高ければよい」といった考え方では見落とす可能性があるため、賃金形態と給与の内訳を分けて確認しましょう。
誤解① 月給制なら最低賃金は関係ない
最低賃金は月給制にも適用されます。
月給を時間額に換算して確認する必要があります。
誤解② 通勤手当を含めて1,108円を超えていればよい
通勤手当は、最低賃金との比較には含めません。
給与明細の総支給額だけで判断しないようにしましょう。
誤解③ 10月分の給与計算をするときに直せばよい
最低賃金は2026年10月1日から適用されます。
給与の締め日によっては、1回の給与計算期間の途中で最低賃金が変わるケースもあります。
そのため、自社の締め日・給与計算期間も含め、事前に確認しておくことをおすすめします。
新潟県最低賃金についてよくある質問
最低賃金は雇用形態や給与の支払い方にかかわらず確認が必要なため、判断に迷いやすいケースを事前に整理しておくと対応しやすくなります。
Q. パート・アルバイトも1,108円になりますか?
原則として、新潟県最低賃金が適用される労働者であれば対象になります。
雇用形態がパートやアルバイトだから最低賃金が異なる、というわけではありません。
Q. 現在の時給が1,110円なら変更しなくても大丈夫ですか?
最低賃金だけを見れば1,108円を上回っています。
ただし、実際の給与の支払い方(給与計算期間が10月1日をまたぐ場合)や労働条件によって確認が必要なケースがあります。
また、最低賃金との差が小さくなっているため、今後の採用条件や既存社員との賃金バランスを確認する機会にしてもよいでしょう。
Q. 月給制の場合、どの金額を使って計算すればいいですか?
基本的には、最低賃金の比較対象となる賃金を時間額に換算します。
通勤手当や家族手当など、計算に含めないものもあるため、単純に月の総支給額を勤務時間で割るわけではありません。
給与の構成によって判断が変わる場合がありますので、最低賃金に近い場合は個別に確認するのがおすすめです。
Q. 賃上げに使える支援制度はありますか?
中小企業・小規模事業者向けには、一定の要件のもとで、生産性向上のための設備投資と事業場内最低賃金の引上げを支援する「業務改善助成金」などがあります。
対象要件や申請時期などがありますので、活用を検討する場合は最新の案内をご確認ください。
まとめ
新潟県最低賃金は、2026年10月1日から1時間1,108円になります。現在の1,050円から58円の引上げです。
会社としては、次の点を確認しておくとよいでしょう。
- 時給制だけでなく月給制の従業員も確認する
- 通勤手当などを除いて最低賃金を比較する
- 月給者は時間額に換算して確認する
- 必要に応じて雇用契約書や賃金規程も見直す
- 最低賃金付近で働く従業員同士の賃金バランスも確認する

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント
最低賃金改正では「時給が1,108円以上か」だけを見るのではなく、月給者の換算や手当の扱い、社内の賃金設定まで含めて確認することが大切です。
最低賃金や支援制度の内容は今後変更される可能性もありますので、実際に対応するときは厚生労働省・新潟労働局などの最新情報をご確認ください。
公式資料
新潟県最低賃金を時間額1,108円に改正 令和8年10月1日から適用― 現行最低賃金額から 58 円の引上げ (新潟労働局)
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