
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、社会保険労務士の関谷です。
社会保険労務士として、法令に基づいた適切な労務管理を通じて、働く方が安心して働ける職場づくりと、経営者が本業に専念できる環境づくりをサポートしています。
最近ではテレワークなど柔軟な働き方が増え、勤務時間中に私用で一時的に業務を離れる「中抜け」について相談を受ける機会も増えています。会社としてどのように整理しておけばよいのか、実務上の考え方をご紹介します。
この記事では、中抜けを休憩時間として取り扱う場合に、終業時刻を延ばせるのか、延ばした時間は残業になるのかについて整理します。
制度の説明だけではなく、当事務所では会社として何を確認し、どのような順番で判断するかという考え方をお伝えします。
中抜けした時間は残業になるのでしょうか?
中抜けをしたからといって、終業時刻が自動的に延びるわけではありません。
「30分私用で外出したので、その分だけ帰る時間を30分遅くしてください。」
このような対応は、実務では珍しくありません。
一方で、
「終業時刻を過ぎて働いたなら残業ではないですか?」
という疑問もよくあります。
一般的には、中抜けを休憩時間として扱うこと自体は可能と考えられています。
しかし、終業時刻まで自動的に変更されるわけではありません。
そのため、終業時刻を超えて勤務した場合は、会社のルールによっては所定外労働(いわゆる残業)として整理する必要が生じることがあります。
なぜ判断が難しくなるのでしょうか?
勤務時間と休憩時間は別々に管理されるため、休憩が増えても勤務時間が自動で変わるわけではありません。
会社では通常、就業規則や雇用契約書等において
- 始業時刻
- 終業時刻
- 休憩時間
をあらかじめ定めています。
中抜けを追加の休憩時間として扱うことはできますが、それだけでは勤務時間帯まで変更されたことにはなりません。
つまり、
- 休憩時間が増えたこと
- 終業時刻が変更されたこと
は別の話として考える必要があります。
そのため、「中抜けした時間だけ最後まで働けばよい」と考えていても、会社のルール上は終業時刻を過ぎた勤務となり、残業として扱われる可能性があります。
当事務所では何を確認するか
まず確認するのは、中抜けそのものではなく、勤務時間を変更できるルールがあるかです。
当事務所では、次の順番で確認することをご提案しています。
① 中抜けを認めるルールがあるか
会社として、
- どのような場合に認めるのか
- 誰の承認が必要か
- どのように勤怠へ記録するか
が整理されているか確認します。
② 終業時刻を変更できる仕組みがあるか
就業規則や勤務ルールで、
始業・終業時刻を繰り上げ・繰り下げできる規定があるか確認します。
このルールがない場合は、終業時刻後の勤務が所定外労働となる可能性があります。
③ 賃金の取扱いをどうするか
中抜け時間を賃金控除する場合でも、終業時刻後の勤務時間をどのように取り扱うかは別に整理する必要があります。
制度だけではなく、勤怠管理や給与計算まで一貫して考えることが大切です。
実務ではどのように整理するとよいでしょうか?
中抜けの運用は、事前にルール化しておくことが実務上のトラブル防止につながります。
当事務所では、例えば次のような点を整理しておくことをおすすめしています。
- 中抜けの対象となるケース
- 申請方法
- 勤怠システムでの入力方法
- 終業時刻を変更する場合の手続き
- 給与計算での取扱い
特にテレワークでは勤務状況が見えにくいため、後から判断するよりも、最初にルールを決めておく方が運用しやすくなります。
会社として気をつけたいポイント
中抜けだけを考えるのではなく、勤怠・給与・就業規則が一致しているか確認しましょう。
会社によっては、
- 就業規則
- 勤怠システム
- 給与計算
で取扱いが一致していないことがあります。
例えば、
勤怠では終業時刻を延ばしているのに、就業規則にはその仕組みが書かれていないというケースもあります。
当事務所では、「実際の運用」と「会社のルール」が一致しているかを確認することを重視しています。
勘違いしやすいポイント
中抜けを休憩として処理すれば、そのまま帰宅時間も遅くできるとは限りません。
よくある誤解は、
「休憩時間が増えたのだから、その分だけ勤務時間も自動で後ろへずれる」
という考え方です。
実際には、終業時刻を変更するためのルールがあるかどうかによって取扱いが変わることがあります。
そのため、「中抜け=終業時刻の繰下げ」と決めつけず、会社の規程や運用を確認することが大切です。
よくある質問
Q. テレワークだけ中抜けを認めてもよいですか?
業務の実態に応じて運用を分けることは考えられますが、対象者や条件を明確にして規定しておくことが重要です。
Q. 毎回残業扱いにしても問題ありませんか?
法令上通常支払うべき賃金より多く支払っている場合は問題にはなりませんが、実際の勤務命令や会社のルールとの整合性を確認する必要はあります。ケースによって適切な取扱いは異なるため、制度・就業規則・勤怠運用をあわせて確認することをおすすめします。
まとめ
中抜けへの対応では、休憩時間だけでなく終業時刻をどう扱うかまで整理することが重要です。
中抜けは柔軟な働き方を支える仕組みとして活用できます。
一方で、
- 中抜けをどう扱うか
- 終業時刻を変更できるか
- 終業後の勤務をどう整理するか
まで考えておかないと、勤怠や給与計算で迷いやすくなります。
当事務所では、「中抜けを認めるか」ではなく、「会社として一貫した運用ができるか」という視点で整理することをおすすめしています。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント
中抜けへの対応は、休憩時間の扱いだけでなく、終業時刻・勤怠管理・給与計算まで一体で整理することが、会社としての適切な運用につながります。
なお、労働時間制度や行政解釈は見直される場合があります。実際の運用では、最新の法令や通達、会社の就業規則を踏まえて確認することが大切です。
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当事務所では、「労使双方が制度を正しく理解し、日頃から話し合える職場づくりが、労使トラブルの予防につながる」と考えています。
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トラブルの多くは、制度を知らなかったことや、事前の認識の違いから生じます。
日頃からルールを整え、制度を正しく理解しておくことで、防げるトラブルは少なくありません。
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