
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、社会保険労務士の関谷です。
社会保険労務士として、法令に基づいた適切な労務管理を通じて、働く方が安心して働ける職場づくりと、経営者が本業に専念できる環境づくりをサポートしています。
「一般事業主行動計画を策定してください」という案内を受けても、「何から始めればよいのだろう」「厚生労働省の資料を見ても、自社ではどのように進めればよいのか分からない」と感じる担当者の方は少なくありません。
一般事業主行動計画は、様式を埋めることが目的ではなく、自社の現状を把握し、課題を整理したうえで、女性が活躍しやすい職場づくりにつなげるための計画です。
この記事では、厚生労働省が示しているSTEP1~STEP4の流れに沿って、当事務所ではどのような順番で考え、実務を整理していくのかをご紹介します。
制度の説明だけではなく、「会社として何を確認すればよいのか」という視点で読み進めていただければ幸いです。
一般事業主行動計画は、「作成しなければならない書類」というイメージを持たれがちですが、実際には自社の現状を確認し、課題を整理して改善につなげるための取組です。
この記事では、厚生労働省のSTEP1~STEP4に沿って、各STEPで会社として確認したいポイントや、当事務所が実務で重視している考え方を分かりやすく解説します。
以下は以前掲載しました当事務所のブログになります。よろしければこちらも合わせてご確認ください。
女性活躍推進法の一般事業主行動計画とは?対象企業と対応の流れを整理します
2026年4月から義務化|男女間賃金差異と女性管理職比率、公表が必要になる会社は?
一般事業主行動計画策定の全体の流れ
一般事業主行動計画は、全体の流れを把握してから各STEPを確認すると、自社で何を進めればよいのか整理しやすくなります。
一般事業主行動計画の策定は、一つひとつの手続きを個別に進めるのではなく、全体の流れを理解したうえで取り組むことが大切です。
厚生労働省では、一般事業主行動計画の策定から取組の実施・効果の測定までを、次の4つのSTEPで進める流れが示されています。

出典:女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!(厚生労働省)
この記事では、この流れに沿って各STEPの内容をご紹介するとともに、「会社として何を確認すればよいのか」「当事務所ではどのような視点で実務を整理しているのか」という点もあわせて解説します。
まずは全体の流れを確認し、その後に各STEPを順番に見ていきましょう。
STEP1 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
行動計画は、まず自社の現状を把握し、課題を整理することから始めることで、実態に合った取組につながります。
厚生労働省の資料では、このSTEPで自社の女性の活躍に関する状況を把握し、その結果を踏まえて課題を分析することとされています。
一般事業主行動計画を作成する際、「まず目標を考えよう」と思われる方もいらっしゃいます。
しかし、厚生労働省が示している最初のSTEPは、「自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析」です。
これは、現在の状況を確認しないまま目標を決めても、自社に合った行動計画にはならないためです。
例えば、「女性管理職を増やす」という目標を掲げたとしても、そもそも管理職候補となる人材が少ない状況であれば、まずは採用や人材育成を見直すことが必要かもしれません。
当事務所でも「計画を作ること」ではなく、「自社の現状を正しく知ること」が最初の一歩だと考えています。
STEP1-① まずは自社の現状を把握しましょう
女性活躍推進法では、女性の活躍状況を把握するための基礎項目などを確認することとされています。
次のような項目です。
- 採用した労働者に占める女性の割合
- 男女の継続勤務年数
- 女性管理職の割合
- 男女別の労働時間の状況
- 男女間賃金差異
まずは、「自社ではどのような傾向があるのか」を客観的に把握することが大切です。
具体的な計算方法については以下の資料をご確認ください。
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!(厚生労働省)
STEP1-② 数字を見て課題を分析しましょう
状況を把握したら、次は課題を分析します。
ここで大切なのは、「数字が良いか悪いか」を判断することではありません。
例えば、女性管理職の割合が低いという結果が出ても、その理由は会社によって異なります。
- 管理職候補となる社員がまだ少ない
- 女性社員の勤続年数が短い
- 配置や育成の仕組みに課題がある
- 管理職を希望する人が少ない
同じ数字でも、背景が異なれば必要な取組も変わります。
数字を「結果」として見るだけでなく、「なぜその結果になったのか」を考えることが、課題分析では重要です。
STEP1-③ 当事務所ならここを確認します
当事務所では、現状把握の際に「他社と比べて良いか悪いか」という視点だけで判断することはおすすめしていません。
まず確認したいのは、自社の現状です。
例えば、
- 数年前と比べて変化はあるか
- 部署によって差はあるか
- 採用・育成・配置のどこに課題がありそうか
このように、自社の状況を時系列や部署ごとに整理すると、改善すべきポイントが見えやすくなります。
「女性管理職が少ない」という結果だけを見て目標を設定するのではなく、その背景を整理してから取り組むことが、実効性のある行動計画につながると当事務所では考えています。
STEP1-④ 会社として気をつけたいポイント
現状把握は、一度行えば終わりではありません。
このあと行動計画を実施した結果、改善につながったのかを確認するためにも、「現在の状況」を記録として残しておくことが大切です。
また、数字だけでは分からない事情がある場合には、現場の意見を聞きながら背景を整理することも有効です。
STEP1-⑤ このSTEPで確認したいチェックリスト
□ 女性の活躍状況に関するデータを確認した
□ 数字だけではなく、その背景も整理した
□ 自社の課題を具体的に言葉で説明できる
□ 「何を改善したいのか」が見え始めている
STEP2 一般事業主行動計画の策定、社内周知、公表
課題が整理できたら、自社に合った目標や取組内容を決め、社員へ周知するとともに公表します。
STEP1で課題を整理したら、次にこのSTEPで一般事業主行動計画を策定し、社内への周知と公表を行うこととされています。
ここで大切なのは、「見栄えのよい計画」を作ることではありません。
現状分析で見えてきた課題に対して、「何を目標にし、どのような取組を行うのか」を具体的に整理することが重要です。
また、行動計画は策定するだけで終わりではなく、社員へ周知するとともに、公表することも求められています。
STEP2-① まずは目標を決めましょう
行動計画では、自社が目指す姿を目標として設定します。
例えば、
- 女性管理職の割合を高める
- 女性の応募者を増やす
- 育児と仕事を両立しやすい環境を整える
- 長く働き続けられる職場づくりを進める
など、自社の課題に応じた目標を設定します。
重要なのは、「STEP1で整理した課題」と目標がつながっていることです。
例えば、女性社員の定着率が課題であるにもかかわらず、採用人数だけを目標にしてしまうと、本来の課題解決にはつながりにくくなります。
STEP2-② 目標に向けた取組内容を考えましょう
目標が決まったら、それを達成するための具体的な取組を整理します。
例えば、
- 管理職候補者への研修を実施する
- 両立支援制度の利用促進を図る
- 採用方法や募集方法を見直す
- 長時間労働の改善に取り組む
など、目標に応じた内容を検討します。
「何を目標にするか」と「何を実施するか」が一致していることが、実効性のある計画を作るポイントです。
STEP2-③ 社内へ周知し、公表しましょう
一般事業主行動計画を策定したら、社員へ周知するとともに、公表することが必要です。
社内周知は、「会社としてこのような取組を進めていく」という方針を社員と共有する機会でもあります。
また、公表することで、求職者や取引先などに対しても、自社の取組を知ってもらうことにつながります。
STEP2-④ 当事務所ならここを確認します
当事務所では、目標を設定する際に「達成しやすい目標か」「高すぎる目標か」という視点だけではなく、「実際に取り組める内容になっているか」を重視しています。
例えば、「女性管理職を増やす」という目標を掲げても、そのための育成や配置の仕組みがなければ、実現は難しくなります。
そのため、
- 目標
- 取組内容
- 実施時期
- 担当者
まで整理し、「実行できる計画」になっているかを確認することをおすすめしています。
STEP2-⑤ 勘違いしやすいポイント
行動計画は、「立派な計画書」を作ることが目的ではありません。
実際には、小さな取組でも継続して実施することの方が重要です。
無理に多くの目標を盛り込むよりも、自社が着実に取り組める内容を設定した方が、結果として女性活躍の推進につながりやすくなります。
STEP2-⑥ このSTEPで確認したいチェックリスト
□ STEP1で整理した課題に沿った目標を設定した
□ 目標を達成するための具体的な取組を決めた
□ 社内への周知方法を整理した
□ 公表の方法や時期を確認した
STEP3 一般事業主行動計画を策定した旨の届出
行動計画を策定した後は、所定の方法で都道府県労働局へ届出を行います。
STEP2で計画の策定、社内周知、公表したら、このSTEPで一般事業主行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出ることとされています。
行動計画を策定し、社内周知・公表まで行ったら、次は策定した旨の届出を行います。
届出は行政手続きの一つですが、「提出すれば終わり」というものではありません。
当事務所では、届出は「行動計画のスタート地点」だと考えています。
STEP3-① 届出を忘れないようにしましょう
行動計画を策定しても、届出を行わなければ必要な手続きが完了したことにはなりません。
そのため、
- 行動計画を策定した日
- 公表した日
- 届出を行う日
をあらかじめ整理しておくと、手続きをスムーズに進めやすくなります。
STEP3-② 当事務所ならここを確認します
届出を行う際には、提出書類だけでなく、「実際の運用が始められる状態になっているか」も確認します。
例えば、
- 社員への周知は完了しているか
- 管理職や担当者が内容を理解しているか
- 取組開始時期を決めているか
といった点も重要です。
届出を済ませても、社内で計画が共有されていなければ、取組が進まない可能性があります。
STEP3-③ 会社として気をつけたいポイント
届出は一度行えば終わりではありません。
行動計画を変更した場合などには、必要に応じて届出が必要となることがあります。
そのため、計画の内容を見直す際には、届出の要否もあわせて確認すると安心です。
STEP3-④ 勘違いしやすいポイント
「届出が終わったから、あとは何もしなくてよい」と考えてしまうことがあります。
しかし、制度の目的は届出を行うことではなく、行動計画に基づく取組を実施し、女性が活躍しやすい職場づくりにつなげることです。
届出は、その取組を始めるための手続きの一つと考えると分かりやすいでしょう。
STEP3-⑤ このSTEPで確認したいチェックリスト
□ 行動計画を策定した
□ 社内周知・公表を行った
□ 労働局への届出を行った
□ 計画を実施できる体制を整えた
STEP4 取組の実施、効果の測定
行動計画は作成して終わりではなく、実際に取り組み、その効果を確認しながら改善を続けることが大切です。
STEP3で計画を策定し届出をしたら、このSTEPで行動計画に基づく取組を実施し、その効果を測定することとされています。
STEP3までで、行動計画の策定や届出などの手続きは完了します。
しかし、女性活躍推進法の目的は、行動計画を作成することではありません。
策定した計画に基づいて取組を進め、その結果を確認しながら職場環境を改善していくことが最も重要です。
そのため、STEP4では「実施」と「効果の測定」が位置付けられています。
STEP4-① まずは計画どおりに取り組みましょう
行動計画で決めた内容は、実際の職場で実践してこそ意味があります。
例えば、
- 研修を予定どおり実施できたか
- 両立支援制度の周知が進んだか
- 採用方法の見直しを行ったか
- 管理職候補者の育成を開始したか
など、計画した取組を着実に進めることが大切です。
最初からすべてを完璧に実施する必要はありません。
まずは計画どおりに取り組み、その状況を確認することから始めましょう。
STEP4-② 取組の効果を確認しましょう
取組を実施したら、その結果を確認します。
例えば、
- 女性管理職の割合に変化はあったか
- 女性の応募者数は増えたか
- 定着率は改善したか
- 残業時間は減少したか
など、STEP1で把握した状況と比較しながら変化を確認すると、取組の効果を把握しやすくなります。
期待した結果にならなかった場合でも、それ自体が失敗というわけではありません。
「なぜ思ったような結果にならなかったのか」を分析し、次の取組へ活かすことが重要です。
STEP4-③ 定期的な見直しをおすすめします
当事務所では、一度策定した行動計画をそのまま最後まで続けるのではなく、定期的に見直すことをおすすめしています。
例えば、
- 目標は現状に合っているか
- 取組内容は実施できているか
- 新たな課題は出てきていないか
といった点を確認しながら、必要に応じて改善していくことで、より実効性のある行動計画になります。
制度に対応するためだけではなく、自社の働きやすい職場づくりにつなげるという視点を持つことが大切です。
STEP4-④ 勘違いしやすいポイント
「行動計画は一度作れば終わり」と思われることがあります。
しかし、実際には、計画を実施し、その結果を確認しながら改善を続けることが制度の目的です。
書類を提出することではなく、職場の環境を少しずつ改善していくことを意識すると、この制度の考え方が分かりやすくなります。
STEP4-⑤ このSTEPで確認したいチェックリスト
□ 行動計画に沿って取組を実施した
□ 効果を確認するためのデータを集めた
□ STEP1で把握した状況と比較した
□ 必要に応じて取組内容を見直す予定がある
よくある質問
Q1 厚生労働省の様式どおりに作成しなければいけませんか?
厚生労働省が公表している様式は参考になりますが、大切なのは、自社の課題に応じた内容になっていることです。
形式を整えることよりも、実際に取り組める計画になっているかを確認しましょう。
Q2 目標は高く設定した方がよいのでしょうか?
必ずしも高い目標がよいとは限りません。
当事務所では、実現が難しい目標を掲げるよりも、自社で継続して取り組める内容を設定することをおすすめしています。
Q3 一度策定したら変更できませんか?
状況の変化に応じて見直すこともあります。
取組を進める中で新たな課題が見えてきた場合には、必要に応じて内容を見直すことも検討するとよいでしょう。
まとめ
一般事業主行動計画は、「提出しなければならない書類」と考えると、何を書けばよいのか分からなくなってしまいます。
当事務所では、次のような順番で整理することをおすすめしています。
この流れで考えることで、「何を書けばよいか」ではなく、「自社として何に取り組むべきか」が見えやすくなります。
制度への対応だけでなく、働きやすい職場づくりにつながる取組として活用していくことが大切です。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント
一般事業主行動計画は、書類を作ることではなく、自社の現状を把握し、課題を改善し続けるための取組として考えることが重要です。
制度の内容や運用は今後変更される可能性もありますので、実際に対応する際は最新の行政情報も確認しましょう。
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当事務所が大切にしている労務管理の考え方
当事務所では、「労使双方が制度を正しく理解し、日頃から話し合える職場づくりが、労使トラブルの予防につながる」と考えています。
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日頃からルールを整え、制度を正しく理解しておくことで、防げるトラブルは少なくありません。
社会保険労務士として、法令に基づいた適切な労務管理を通じて、働く方が安心して働ける職場づくりと、経営者が本業に専念できる環境づくりをサポートしています。
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