女性活躍推進法の一般事業主行動計画とは?対象企業と対応の流れを整理します

こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、社会保険労務士の関谷です。

社会保険労務士として、法令に基づいた適切な労務管理を通じて、働く方が安心して働ける職場づくりと、経営者が本業に専念できる環境づくりをサポートしています。

「女性活躍推進法」という言葉を聞いたことはあっても、「自社には関係あるのだろうか」「何をすればよいのだろうか」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、女性活躍推進法の概要だけではなく、会社としてどのような順番で確認し、どのように実務を進めていけばよいのかを整理してご紹介します。

目次

女性活躍推進法とはどのような法律ですか?

女性活躍推進法は、「女性を優遇する法律」ではなく、働きやすい職場づくりに向けて現状を把握し、改善に取り組むための法律です。

「女性活躍推進法」という名称から、「女性だけを対象にした制度」とイメージされることがあります。

しかし、会社が働き方や人材活用の現状を把握し、課題があれば改善に取り組むことで、多様な人材が能力を発揮できる職場づくりを進めることを目的とした法律と考えられています。

会社によって課題は異なります。

例えば、

  • 女性管理職が少ない
  • 採用した女性の定着率が低い
  • 育児と仕事を両立しにくい
  • 男女で賃金・残業時間に大きな差がある

など、会社ごとに改善すべきポイントはさまざまです。

そのため、法律では「まず会社の現状を把握し、その結果に応じた取組を行う」という考え方が基本となっています。

当事務所でも、制度への対応を考える際には、「計画書を作ること」ではなく、「自社の状況を整理すること」から始めることが重要だと考えています。

自社は対象になるのでしょうか?

まずは常時雇用する労働者数を確認し、自社が義務の対象かどうかを把握することが第一歩です。

女性活躍推進法では、会社の規模によって対応内容が異なります。

常時101人以上の会社

  • 一般事業主行動計画の策定
  • 労働局への届出
  • 社内への周知
  • 外部への公表
  • 一定項目の情報公表

などが求められます。

常時100人以下の会社

現時点では、これらの対応は努力義務とされています。

そのため、法律上は必ずしも作成しなければならないわけではありません。

ただし、会社の採用活動や職場環境の改善という観点から、自主的に取り組む会社も少なくありません。

常時101人以上とはどのような意味ですか?

「常時101人以上」と聞くと、「パートタイマーも含まれるのだろうか」「派遣社員も数えるのだろうか」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

女性活躍推進法では、「常時雇用する労働者」が何人いるかによって、対応が異なります。

この「常時雇用する労働者」には、正社員だけではなく、パートタイマーや契約社員、アルバイトなども含まれる場合があります。

次のような労働者が対象とされています。

・期間の定めなく雇用されている方
・有期雇用であっても、すでに1年以上継続して雇用されている方
・雇い入れ時点で、1年以上継続して雇用されることが見込まれる方

そのため、「契約社員だから対象外」「パートタイマーだから人数に含めない」と一律に判断することはできません。

当事務所でも、制度への対応をご相談いただいた際には、まず雇用契約の内容や雇用期間を確認したうえで、「常時雇用する労働者」が何人になるのかを整理しています。

対象かどうかの判断に迷う場合は、厚生労働省の資料や都道府県労働局の案内を確認しながら進めると安心です。

一方、派遣社員については、派遣労働者は派遣元(派遣会社)の従業員としてカウントされるため、派遣先の企業では従業員数に含めません。

当事務所では最初にここを確認します

当事務所では、最初に次の点を整理します。

  • 常時雇用する労働者数は何人か
  • 義務対象か努力義務か
  • 既に行動計画を作成しているか
  • 前回計画の期間が終了していないか

制度の説明を始める前に、「そもそも自社は何をしなければならないのか」を整理することで、不要な対応や漏れを防ぎやすくなります。

一般事業主行動計画とは何ですか?

一般事業主行動計画は、「会社が今後どのような改善に取り組むか」をまとめた実行計画です。

行動計画という名称から、「行政へ提出する書類」というイメージを持たれることがあります。

しかし、実際には会社が取り組む内容を整理した計画書という位置づけです。

  • 計画期間
  • 数値目標
  • 具体的な取組内容
  • 実施時期

などを定めます。

例えば、

  • 女性管理職を増やすための研修を実施する
  • 育児と仕事を両立しやすい制度を周知する
  • 採用活動の見直しを行う

といった内容が考えられます。

重要なのは、「他社と同じ内容を書くこと」ではありません。

会社の課題に応じた取組を計画することが、本来の目的です。

行動計画はどのような流れで作成しますか?

行動計画は、現状把握から始めて課題を分析し、それに合った目標を設定する流れで作成します。

厚生労働省でも、次のような流れで進めることが示されています。

① 現状を把握する

まずは自社の状況を確認します。

例えば、

  • 女性管理職の割合
  • 採用状況
  • 勤続年数
  • 男女別の残業時間
  • 育児休業取得状況
  • 男女間賃金差異

などを確認します。

ここで大切なのは、「数字を集めること」ではなく、「会社の特徴を把握すること」です。

② 課題を分析する

現状を把握したら、

「なぜそのような結果になっているのか」

を考えます。

例えば、

女性管理職が少ない場合でも、

  • 採用人数が少ないためなのか
  • 昇進希望者が少ないためなのか
  • 長時間労働が影響しているのか

では、必要な取組は変わります。

当事務所でも、数字だけを見て判断するのではなく、その背景まで整理することを大切にしています。

③ 行動計画を作成する

課題が整理できたら、

  • どのような目標を設定するか
  • いつまでに取り組むか
  • どのような方法で改善するか

をまとめていきます。

目標は、会社の実情に合った内容にすることが重要です。

無理な数値目標を設定すると、実際の運用が難しくなることもあります。

当事務所では何を確認するか

当事務所では、まず「提出書類を作ること」ではなく、「会社の現状と改善したいこと」を整理するところから始めます。

女性活躍推進法への対応というと、「行動計画を作成して提出すること」が目的になってしまうことがあります。

しかし、当事務所では、まず会社の現状を整理し、「何を改善したいのか」を確認することが大切だと考えています。

例えば、次のような点を一緒に確認します。

1. 法律上の対象となるか

まずは、常時雇用する労働者数を確認し、自社が義務の対象か、努力義務の対象かを整理します。

対象となる会社でも、すでに計画を策定している場合や、計画期間の見直しが必要な場合があります。

2. 現状のデータを把握できるか

行動計画を作成するには、自社の現状を把握することが重要です。

例えば、

  • 採用状況
  • 管理職の割合
  • 平均勤続年数
  • 育児休業の取得状況
  • 労働時間の状況
  • 賃金の状況

など、必要な情報を確認します。

普段から人事データを整理している会社であれば比較的スムーズですが、データが分散している場合は、まず整理することから始めるケースもあります。

3. 現状に合った目標になっているか

数値目標は、達成しやすすぎても、反対に現実とかけ離れていても、取り組みにつながりにくくなります。

当事務所では、「会社の現状を踏まえて、無理なく継続できる内容になっているか」という視点で整理することを大切にしています。

実務ではどう考えるか

行動計画は一度作成して終わりではなく、実際の運用につなげることが大切です。

実務では、行動計画を策定した後の運用も重要です。

例えば、

  • 目標に向けた取組が実施されているか
  • 社員へ十分に周知されているか
  • 計画期間中に状況の変化はないか
  • 次回の計画につながる振り返りができているか

などを定期的に確認すると、計画が形だけになることを防ぎやすくなります。

また、人事制度や就業規則の見直しが必要となるケースもあります。

女性活躍推進法だけを切り離して考えるのではなく、採用・育成・評価・働き方全体とあわせて検討することで、より実効性のある取組につながる場合があります。

会社として気をつけたいポイント

行動計画は他社の内容をそのまま使うのではなく、自社の状況に合わせて作成することが重要です。

厚生労働省の資料には作成例が掲載されています。

参考にすることは有効ですが、そのまま自社の計画として使用すると、実際の運用との間にズレが生じることがあります。

例えば、

  • 実施できない取組を書いてしまう
  • 実態に合わない数値目標を設定してしまう
  • 社内で十分に共有されない

といったケースも考えられます。

計画は提出のためだけではなく、「実際に取り組める内容」にすることが大切です。

勘違いしやすいポイント

「女性管理職を増やすこと」が目的ではなく、自社の課題に応じた改善に取り組むことが重要です。

「女性活躍推進法だから、女性管理職を増やさなければならない」と考えられることがあります。

しかし、実際には、会社ごとの課題に応じて目標や取組を設定することが求められています。

例えば、

  • 採用活動の見直し
  • 育児と仕事の両立支援
  • 長時間労働の改善
  • キャリア形成の支援

などが課題となる会社もあります。

当事務所では、「どのような目標を書くか」ではなく、「自社にとって何が課題なのか」を整理することを重視しています。

よくある質問

Q1. 常時100人以下の会社でも行動計画を作った方がよいですか?

法律上は努力義務とされていますが、採用活動や職場環境の改善を目的として自主的に取り組む会社もあります。

自社の状況や今後の人材採用方針などを踏まえて検討するとよいでしょう。

Q2. 行動計画は一度作れば終わりですか?

いいえ。

計画期間が終了した際には、取組状況を振り返り、必要に応じて新たな計画を作成することが大切です。

Q3. 数値目標は高く設定した方がよいですか?

必ずしもそうではありません。

会社の実情に合った目標を設定し、実際に取り組める内容にすることが重要です。

今回ご紹介できなかった内容について

この記事では、女性活躍推進法への対応について、会社として最初に確認したいポイントや実務での考え方を中心にご紹介しました。

制度には、このほかにも次のような内容があります。

  • 一般事業主行動計画の届出方法
  • 社内への周知や外部への公表
  • 情報公表の具体的な内容
  • 行動計画の見直しや進捗確認
  • 「えるぼし認定」「プラチナえるぼし認定」の概要

これらは会社の状況によって必要となる対応が異なる場合があります。

今回の記事では考え方を中心にご紹介しましたので、制度の詳細や最新の運用については、厚生労働省が公表しているパンフレットや各都道府県労働局の案内もあわせてご確認ください。

制度の内容を確認したうえで、「自社ではどのように進めればよいか」を整理したい場合は、お気軽に当事務所へご相談ください。

よろしければ以下の記事もご覧ください。

2026年4月から義務化|男女間賃金差異と女性管理職比率、公表が必要になる会社は?

まとめ

女性活躍推進法への対応では、「義務だから作る」のではなく、自社の課題を整理し、改善につなげることが大切です。

女性活躍推進法への対応では、一般事業主行動計画の作成が注目されがちです。

しかし、当事務所では、行動計画はあくまでも「改善に向けた手段の一つ」と考えています。

まずは、

  • 自社が対象となるか確認する
  • 現状を把握する
  • 課題を整理する
  • 自社に合った目標を設定する
  • 継続して取り組む

という流れで進めることで、制度対応だけでなく、働きやすい職場づくりにもつながります。

なお、制度内容や対象範囲などは法改正によって変更される場合があります。実際に対応する際は、最新の情報を確認しながら進めることが大切です。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント

女性活躍推進法への対応は、行動計画を作成することが目的ではなく、自社の現状を把握し、課題に応じた改善を継続していくことが重要です。

公式資料

女性活躍推進法が改正されました!(厚生労働省)

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しましょう!(厚生労働省)

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トラブルの多くは、制度を知らなかったことや、事前の認識の違いから生じます。

日頃からルールを整え、制度を正しく理解しておくことで、防げるトラブルは少なくありません。

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この記事を書いた人

「おっきなでんしゃ社会保険労務士事務所」代表の関谷と申します。豊かな自然とあたたかい人々に恵まれたこの新潟の地で、家族とともに日々の暮らしを楽しみながら、社会保険労務士として地域の企業様中心にをサポートさせていただいております。

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