
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、
社会保険労務士の関谷です。
育児休業から復職したあと、時短勤務制度を利用して働く方も多いと思います。
その際、
- 時短勤務になると給与が減る
- 育児と仕事を両立するための負担が大きい
と感じることもあるかもしれません。
こうした状況を支援する制度として「育児時短就業給付金」があります。
今回は、育児時短就業給付金の制度の仕組みや対象者、手続きについて整理します。
- 制度の目的
- 対象になる人
- 支給額の考え方
- 育児休業給付金との違い
- 手続きの流れ
などをわかりやすく整理します。
この記事は制度の仕組みや支給額、条件、申請方法などを整理しています。
初めて制度に触れる方でも、
全体像と実務のポイントがイメージできる内容になっています。
詳しい制度や手続きの具体的な内容についてより詳しく知りたい方は、
記事の最後にある公式資料をあわせてご確認ください。
なお、この記事は「出産〜復職までの制度シリーズ」の11記事目です。
出産から復職までには、さまざまな制度や給付金があります。
出産から復職までの制度全体については以下の記事でまとめて解説しています。
▶ 「育児休業とは?出産前から復職までの制度・給付金・手続きの流れをわかりやすく解説」
※前回の記事
▶ 「⑩養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置とは?年金が減らない制度」です。
育児時短就業給付金とは?
育児時短就業給付金とは、2歳未満の子の育児のために短時間勤務をしている労働者を支援するための雇用保険の給付制度です。
育児休業から復職したあと、時短勤務をすると給与が下がるケースがあります。
この制度は、時短勤務による収入減少を一定程度補う目的で設けられています。
なぜこの制度があるのか?
育児と仕事を両立しやすい働き方を支援するための制度です。
育児期には
- 保育園の送迎
- 子どもの体調不良
- 家庭での育児時間
などが必要になります。
そのため、フルタイム勤務ではなく時短勤務を選択する方も多いです。
この制度は、育児と仕事の両立を支援する目的で設けられています。
対象になる人(受給資格と支給要件)
育児時短就業給付金は、雇用保険に加入しており、2歳未満の子の育児のために短時間勤務をしている人が対象になります。
一般的には、次のような条件を満たす場合に対象になります。
受給資格
次の①・②の要件を両方満たす方が対象です。
① 2歳未満の子を養育するために、育児時短就業する雇用保険の被保険者(一般被保険者及び高年齢被保険者)であること
② 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて同一の子について育児時短就業を開始したこと、
または、育児時短就業開始日前2年間に、 賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間が80時間以上ある)完全月が12か月あること
支給要件
次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給します。
③ 初日から末日まで続けて、雇用保険の被保険者である月
④ 1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
⑤ 初日から末日まで続けて、育児休業給付又は介護休業給付を受給していない月
⑥ 高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月
支給対象となる時短制度
支給対象となる「時短勤務」とは、会社が定める通常の週の労働時間より短時間で働く場合を指します。
また、次のような制度で働いている場合でも、要件を満たせば支給対象になる可能性があります。
フレックスタイム制 ・・・ 清算期間の総労働時間を短縮して働く場合
変形労働時間制 ・・・ 対象期間の総労働時間を短縮して働く場合
裁量労働制 ・・・ みなし労働時間を短縮して働く場合
シフト制 ・・・ 1週間の平均労働時間を算定し、短縮していることが確認できる場合
このように、一般的な時短勤務制度以外でも対象になる可能性があります。
支給額の考え方(いくらもらえる?)
育児時短就業給付金は、時短勤務によって減少した賃金を補う形で支給されます。
給付額は
- 時短勤務後の賃金
- 育休前の賃金
などを基準に計算されます。
支給額の目安
原則として時短勤務後の賃金の約10%程度が給付される仕組みです。
例えば
育休前給与:30万円
時短勤務給与:20万円
この場合、約2万円の給付になります。
※実際の給付額は個別の条件によって異なります。
給付金が支給されないケース
次のような場合には、育児時短就業給付金が支給されないことがあります。
①時短勤務中の賃金が時短前の賃金の100%以上となる場合
②時短勤務中の賃金が支給限度額以上となる場合
※支給対象月に支払われた賃金額が、471,393円(2026(令和8)年7月31日までの額)以上の場合は支給されません。
③計算した給付額が最低限度額以下となる場合
※給付金として算定された支給額が、2,411円(2026(令和8)年7月31日までの額)以下の場合は支給されません。
このような場合は、条件を満たしていても給付が支給されません。
実際に給付を受けられるかどうかは、賃金の状況や勤務時間によって判断されるため、
詳細は会社やハローワークで確認しておくと安心です。
育児休業給付金との違い
育児休業給付金は休業中の給付、育児時短就業給付金は復職後の時短勤務を支援する給付です。
育児時短就業給付金は、育児休業給付金と混同されやすい制度です。
- 育児休業中の給付 → 育児休業給付金
- 復職後の短時間勤務中の給付 → 育児時短就業給付金
という違いがあります。
育児時短就業給付金の支給対象期間
育児時短就業給付金の支給対象となるのは、育児のために短時間勤務をしている期間が給付の対象になります。
原則として育児時短就業を開始した日の属する月から育児時短就業を終了した日の 属する月までの各暦月(以下「支給対象月」という。)について支給されます。

厚生労働省:「2025年4月から「育児時短就業給付金 」を創設しました」より
支給が終了する主なケース
次のような場合には、育児時短就業給付金の支給対象外となります。
・子が 2歳に達した場合
・産前産後休業を開始した場合
・短時間就業に係る子とは別の子のために育児休業を開始した場合
・子の死亡その他の事由により、子を養育しないこととなった
これらのいずれかに該当すると、その時点で給付の対象外となります。
男性が出産前から時短勤務をしている場合
男性が配偶者の出産前から時短勤務を開始している場合でも、
給付の対象となるのは
- 出産予定日
- 出生日
の いずれか早い月からとなります。
つまり、出産前に時短勤務をしていた期間は原則として給付対象にはならないため注意が必要です。
手続きの流れ
会社を通じてハローワークへ申請することで給付を受けることができます。
育児時短就業給付金は、会社(事業主)がハローワークへ申請します。
一般的な流れは次のとおりです。
① 時短勤務を開始
まず、育児のために短時間勤務制度を利用して働き始めます。
② 会社が申請書類を作成
会社が次の書類を作成し、ハローワークへ申請を行います。
主な提出書類
〇雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書・所定労働時間短縮開始時賃金証明書
〇育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書
※育児休業から同一の子どもについて、そのまま育児時短勤務を開始する場合は、
一部書類の提出が不要になることがあります。
③ 添付書類で勤務状況などを確認
申請の際には、時短勤務の開始や賃金、育児の事実などを確認するために
次のような書類の添付を求められることがあります。
主な添付書類の例
・賃金台帳
・出勤簿、タイムカード
・労働条件通知書
・育児短時間勤務申出書
・育児短時間勤務取扱通知書
・就業規則
また、育児の事実を確認するために
・母子健康手帳
・住民票
・医師の診断書(分娩予定日証明書)
などの提出が求められる場合もあります。
住民票などは従業員から会社へ提出することになるため、 事前に準備しておくと手続きがスムーズです。
④ ハローワークで審査後、給付金が支給
ハローワークで申請内容が確認され、
条件を満たしている場合は育児時短就業給付金が支給されます。
手続きは、ハローワークへの提出のほか、電子申請で行うこともできます。
よくある質問
Q パートや契約社員でも対象になりますか?
雇用保険に加入していれば、パートや契約社員でも対象になる可能性があります。
育児時短就業給付金は雇用保険の給付制度です。
そのため
・雇用保険の被保険者である
・育児のために短時間勤務をしている
といった条件を満たしていれば、雇用形態に関係なく対象になる可能性があります。
Q 育児休業給付金と同時にもらうことはできますか?
同時に受け取ることはできません。
育児休業給付金は育児休業中(仕事を休んでいる期間)に支給される給付です。
一方で、育児時短就業給付金は復職後に短時間勤務をしている期間が対象になります。
そのため、
育児休業中 → 育児休業給付金
復職後(短時間勤務) → 育児時短就業給付金
という形で、
働き方に応じて制度が切り替わる仕組みになっています。
Q 手続きは自分で行う必要がありますか?
一般的には会社(事業主)がハローワークへ申請します。
制度を利用したい場合は、会社の担当者へ相談することになります。
まとめ
育児休業から復職したあと、時短勤務を利用する方も多くいます。
その際に給与が下がる場合には、育児時短就業給付金によって収入減少を一定程度補うことができます。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント
育児時短就業給付金は復職後の時短勤務による収入減少を支援する制度です。
なお、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。
制度内容は変更される可能性がありますので、最新情報は公的機関の案内なども確認するようにしてください。
公式資料
育児時短就業給付の内容と支給申請手続(厚生労働省)
2025年4月から「育児時短就業給付金 」を創設しました(厚生労働省)
転職先の事業所で育児時短就業給付金の支給を再開する場合の留意点(厚生労働省)
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