⑥育児休業給付金とは?支給額・条件・いつまで受け取れるか解説

こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、

社会保険労務士の関谷です。

従業員が育児休業を取得する際、よく聞かれるのが

  • 育児休業給付金はいくらもらえるのか?
  • いつまで支給されるのか?
  • どのような条件があるのか?

といった内容です。

育児休業給付金は、育児休業中の生活を支える重要な制度ですが、仕組みが少し分かりにくい部分もあります。

この記事では、育児休業給付金の基本的な仕組みについて解説します。

  • 支給額
  • 支給期間
  • 支給条件
  • 申請方法
  • 保育所に入所できない場合の延長制度

など、制度を理解するうえで押さえておきたいポイントを整理します。

この記事は制度の仕組みや支給額、条件、申請方法などを整理しています。

初めて制度に触れる方でも、

全体像と実務のポイントがイメージできる内容になっています。

詳しい制度や手続きの具体的な内容についてより詳しく知りたい方は、

記事の最後にある公式資料をあわせてご確認ください。

 

なお、この記事は「出産〜復職までの制度シリーズ」の6記事目です。

出産から復職までには、さまざまな制度や給付金があります。

出産から復職までの制度全体については以下の記事でまとめて解説しています。

「育児休業とは?出産前から復職までの制度・給付金・手続きの流れをわかりやすく解説」

※前回の記事

「⑤育児休業中の社会保険料はどうなる?保険料免除の仕組みを解説」

目次

育児休業給付金とはどんな制度?

育児休業給付金は育児休業中の生活を支える雇用保険の制度です。

育児休業中は給与が支払われないことが多いため、その期間の生活を支える目的で給付金が支給されます。

簡単に言うと、「育児休業中の収入を補う制度」とイメージすると分かりやすいと思います。

育児休業給付金はいくらもらえる?

育児休業給付金は休業前賃金の67%(その後50%)が支給されます。

育児休業給付金の支給額は、

育児休業開始から 最初の6か月 →  休業前賃金の67%

それ以降は →  休業前賃金の50%

が支給されます。

ただし、育児休業給付金には支給上限額があり、この金額は変わることがあります。

記事作成(令和8年3月)時点での上限額は、

最初の6カ月(支給率67%)は約32万円、それ以降(支給率50%)は約24万円となっています。

育児休業給付金はいつまで支給される?

育児休業給付金は原則として子どもが1歳になるまで支給されます。

ただし、保育所に入所できない場合などには最長2歳まで支給期間を延長できる場合があります。

育児休業給付金の支給条件

育児休業給付金は、雇用保険に加入している人が一定の条件を満たして育児休業を取得した場合に支給されます。

育児休業給付金を受けるためには、雇用保険の被保険者であることを前提に、いくつかの条件を満たす必要があります。

主な条件は次のとおりです。

  • 1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得していること
  • 育児休業開始日前の2年間に、一定期間働いていること
    (目安として、賃金の支払いの対象となる日が11日以上ある月が12か月以上あること)
  • 月10日以内の就業であること10日を超える場合は、就業した合計時間が月80時間以下であること
    (就労をしないことを前提とした制度ですが、スムーズな職場復帰等を目的として上記範囲内で一時的に就労することが可能です。)
  • (有期雇用契約の場合)子どもが1歳6か月になるまでの間に、労働契約が終了する予定がないこと
     ※1歳6カ月や2歳まで受給期間が延長される場合は、育児休業終了日より6カ月間に労働契約が終了する予定がないこと。

このように、育児休業給付金は育児のために仕事を休んでいる期間の収入を補う制度のため、

  • 一定期間働いて雇用保険に加入していること
  • 育児休業中に働きすぎていないこと

などが確認されます。

また、勤め先の就業規則等によっては、入社してからの期間が短い従業員などを

制度の対象から除外する規定を定めている場合もありますので、事前に確認が必要です。

なお、パートや契約社員の方でも条件を満たしていれば対象になります。

育児休業給付金の初回申請方法

育児休業給付金は、会社(事業主)がハローワークへ申請することで支給されます。

従業員本人が直接申請するケースは少なく、通常は会社の担当者が手続きを行います。

基本的な流れは次のとおりです。

基本的な手続きの流れ

初回申請の一般的な手続きの流れは次のとおりです。

育児休業取得の申し出
 まず、従業員が会社へ育児休業を取得する意思を伝えます。
 産休に入る前など、できるだけ早い段階で人事・総務などの担当部署へ相談しておくと安心です。

必要書類
 会社、従業員が準備する書類はそれぞれ以下の通りです。

会社が準備する書類

 1.育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書
 2.雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
 3.賃金台帳
 4.出勤簿・タイムカード
 5.育児休業申出書など
 6.雇用契約書(有期雇用者が育児休業を取得する場合のみ)

従業員が準備する書類

 1.母子健康手帳等(出産予定日や出産日を確認できる書類)
 2.通帳の写し(金融機関名、本店・支店名、、口座種別、口座番号)
 3.マイナンバー

③会社が申請書類を作成
 会社が「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」を作成。

ハローワークへ申請
 会社が作成した「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書」と添付書類を、管轄のハローワークへ提出します。
 初回の支給申請は、原則として育児休業開始日から4ヵ月を経過する日の属する月の末日までに、管轄のハローワークへ提出します。
 提出方法は、電子申請も可能です。

支給決定・給付金の振込
 提出された書類をもとにハローワークで審査が行われ、条件を満たしていれば会社に育児休業給付金支給決定通知書が交付されます。
 支給決定後は1週間程度で育児休業給付金が従業員の口座に振り込まれます。
 なお、令和7年4月より新たな給付金制度が創設されたことによる申請数の急激な増加に伴い、支給決定まで時間を要しているケースがあります。
 従業員にも支給決定まで時間がかかる場合があることを説明の上、あらかじめ理解を得ておくことが大切です。

2回目以降の育児休業給付金の申請方法

育児休業給付金は自動では続かないため、休業中は定期的に申請が必要です。

育児休業給付金は、一度申請すればそのまま支給され続けるものではありません。

原則として、支給単位期間ごと(一般的には2か月ごと)に継続して申請が必要です。

希望すれば、1か月ごとに申請することもできます。

申請は、ハローワークから送付される「育児休業給付金支給申請書」を使って行います。

手続きは少しずつシンプルになる

2回目以降の申請では、初回に必要だった「出生を証明する書類」などは基本的に不要になります。

そのため、手続き自体は少し簡単になりますが、

「申請そのものが不要になるわけではない」点には注意が必要です。

提出書類と確認しておきたい内容

2回目以降の申請では、勤務状況や賃金の内容を申請書に記載する必要があります。

そのため、実際の記録と内容が合っているかの確認が重要になります。

主に、次のような書類をもとに手続きを進めます。

必要書類
・育児休業給付金支給申請書
・賃金台帳
・出勤簿・タイムカード

申請書には、例えば次のような内容を記載します。

・就業日数
・就業時間
・支払われた賃金額

これらは、出勤簿や賃金台帳の内容と一致しているかを必ず確認しましょう。

会社として気をつけたいポイント

よくあるのが、「だいたい合っているから大丈夫だろう」と感覚で記載してしまうケースです。

ただ、育児休業給付金は、

「実際に働いたかどうか」「どれくらい賃金が支払われたか」によって支給額が変わる仕組みです。

そのため、
・少しのズレ
・記録との不一致

があると、後から確認や修正が必要になることもあります。

手間を増やさないためにも、元の記録と照らし合わせながら丁寧に確認することが大切です。

申請期限とスケジュール管理

2回目以降の申請にも期限があるため、スケジュール管理がとても重要になります。

育児休業給付金の申請は、支給単位期間ごとに、

「開始日から4か月を経過する日の属する月の末日まで」に行う必要があります。

少し分かりづらい表現ですが、「気づいたら期限を過ぎていた」ということも起こりやすいポイントです。

そのため、申請期限については、

ハローワークから送付される通知書の内容を事前に確認しておくと安心です。

よくある見落とし

実務上よくあるのが、次のようなケースです。

・申請そのものを忘れてしまう

・後でまとめてやろうとして期限を過ぎてしまう

育児休業は長期間にわたるため、「最初は意識していたけれど、途中で抜けてしまう」ということが起きがちです。

こうしたミスを防ぐためには、社内であらかじめスケジュールを管理しておくことが大切です。

例えば、

・申請時期をカレンダーに登録しておく

・1人で管理せず複数人で管理する

といった形で、“忘れない仕組み”を作っておくと安心です。

保育所に入所できない場合の延長制度

保育所に入所できない場合などには育児休業給付金を延長できる場合があります。

育児休業給付金は原則として子どもが1歳になるまで支給されます。

ただし、保育所に入所できないなど一定の事情がある場合には、支給期間を延長できる制度があります。

延長の流れは次のとおりです。

  • 子どもが1歳になる時点で保育所に入所できない  →  1歳6か月まで延長

さらに同様の事情が続く場合には →  2歳まで延長

できる場合があります。

延長のために必要になること

延長を希望する場合には、保育所への申込みを行っていることが前提になります。

また、申請の際には以下の書類の提出が求められます。

必要書類

1.育児休業給付金支給対象期間 延長事由認定申告書

2.市区町村に保育所等の利用(入所)申し込みをしたときの申込書の写し
1歳(あるいは1歳6か月)到達日前の日付で申し込みをしたことがわかるもの

3.市区町村が発行した保育所等における保育が当面行われないことが明らかとなる通知の写し
(入所保留通知書、入所譜承諾通知書など市区町村によって名称が異なります。)

延長制度で注意したいポイント

実務では次の点に注意が必要です。

  • 保育所の申込み期限
  • 不承諾通知書等の取得
  • 申請期限

などです。

これらの手続きが間に合わないと給付延長が認められない可能性もあるため、

必要書類をしっかりと把握のうえ、スケジュール管理を徹底し、早めの準備をすることが大切です。

公式資料 育児休業給付金の支給対象期間延長手続き」(厚生労働省)

実務で押さえておきたいポイント

給付金と社会保険料免除をあわせて理解し、申請漏れを防ぐ仕組みづくりが大切です。

育児休業給付金は、社会保険料の免除とあわせて理解しておくことが大切です。

育児休業中は、健康保険料や厚生年金保険料が免除されるため、

給付金と組み合わせることで、実質的な手取りが想像より減らないケースも多くあります。

そのため、従業員へ制度を説明する際は、

「給付金だけでなく、社会保険料も免除される」という点まで含めて伝えると、理解しやすくなります。

会社として気をつけたいポイント

あわせて意識しておきたいのが、申請忘れを防ぐためのスケジュール管理です。

育児休業給付金は、継続して申請を行う必要があるため、

申請漏れや申請遅れがあると、支給が遅れる可能性もあります。

そのため、「気をつける」だけでなく、仕組みとして防ぐことが重要です。

例えば、次のような方法が実務では有効です。

・カレンダーに申請期限を登録し、事前にリマインドが届くようにする
・対象者ごとの申請スケジュールを一覧で管理する
・担当者と確認者を分けて、ダブルチェックできる体制にする
・給与計算のタイミングとあわせて申請確認を行う

このように、“忘れない仕組み”をあらかじめ作っておくことで、ミスを防ぎやすくなります。

制度の理解とあわせて、運用面まで整えておくことで、安心して手続きを進めることができます。

よくある質問

Q 男性でも育児休業給付金は受け取れますか?

男性でも、育児休業を取得すれば育児休業給付金の対象になる場合があります。

近年は、いわゆる「産後パパ育休」などの制度もあり、男性の育児休業取得も増えています。

育児休業給付金は、男女を問わず条件を満たせば支給される制度です。

Q パートや契約社員でも育児休業給付金は受け取れますか?

パートや契約社員などの 有期雇用の労働者でも、一定の条件を満たしていれば対象になる場合があります。

例えば、雇用保険に加入している、一定期間継続して働いているなどの条件があります。

雇用形態だけで対象外になるわけではないため、具体的な条件を確認することが大切です。

Q 育児休業中に少し働いた場合でも給付金はもらえますか?

育児休業中に働いた場合でも、一定の範囲内であれば育児休業給付金が支給されることがあります。

ただし、就労日数、就労時間、賃金額などに一定の基準があります。

その基準を超えて働いた場合には、給付金が支給されない場合もあるため注意が必要です。

Q 育児休業給付金はいつ振り込まれますか?

支給決定後1週間程度で育児休業給付金が従業員の口座に振り込まれます。

育児休業給付金は原則として2か月ごとに支給されます。

まとめ

主なポイント

  • 育児休業給付金は雇用保険の制度
  • 支給率は最初の6か月は67%、それ以降は50%
  • 原則1歳まで、ただし保育所に入れない場合等は最長2歳まで延長可能

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント

育児休業給付金は育児休業中の生活を支える雇用保険の制度で、
保育所に入所できない場合には延長できることがあります。

※本記事は執筆時点の制度をもとに整理しています。制度改正などにより内容が変更される場合があります。

次の記事

次の記事は「⑦産後パパ育休(出生時育児休業給付金)とは?支給額・条件・申請方法を解説」です。

出生時育児休業給付金(産後パパ育休)は、

子どもの出生直後に父親が育児休業を取得した場合に支給される給付金です。

公式資料

より詳しく制度内容を確認したい方は、こちらをご覧ください。

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この記事を書いた人

「おっきなでんしゃ社会保険労務士事務所」代表の関谷と申します。豊かな自然とあたたかい人々に恵まれたこの新潟の地で、家族とともに日々の暮らしを楽しみながら、社会保険労務士として地域の企業様中心にをサポートさせていただいております。

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