
こんにちは、新潟市で活動しているおっきなでんしゃ社会保険労務士事務所、
社会保険労務士の関谷です。
最近は、出産後に夫婦で育児休業を取得するケースも増えてきました。
こうした働き方を後押しする制度として、出生後休業支援給付金があります。
この制度は、夫婦で育児休業を取得した場合に、既存の育児休業給付金に上乗せして支給される給付です。
この記事では、出生後休業支援給付金について解説します。
- 制度の仕組み
- 対象になる条件
- 支給額の考え方
- 申請方法
- 利用する際の注意点
などを、わかりやすく整理しています。
この記事は制度の仕組みや支給額、条件、申請方法などを整理しています。
初めて制度に触れる方でも、
全体像と実務のポイントがイメージできる内容になっています。
詳しい制度や手続きの具体的な内容についてより詳しく知りたい方は、
記事の最後にある公式資料をあわせてご確認ください。
なお、この記事は「出産〜復職までの制度シリーズ」の8記事目です。
出産から復職までの制度全体については以下の記事でまとめて解説しています。
▶ 「育児休業とは?出産前から復職までの制度・給付金・手続きの流れをわかりやすく解説」
※前回の記事
▶ 「⑦産後パパ育休(出生時育児休業給付金)とは?支給額・条件・申請方法を解説」です。
出生後休業支援給付金とは?
夫婦で育児休業を取得した場合に、既存の育児休業給付金に上乗せして給付が支給される雇用保険の制度です。
この給付は単独でもらえるものではなく、
- 出生時育児休業給付金(産後パパ育休)
- 育児休業給付金
に上乗せして支給される制度です。
支給される期間は最大28日間です。
給付率は合計で約80%
育児休業中は通常、休業前賃金の67%が育児休業給付金として支給されます。
そこに出生後休業支援給付金(13%)が上乗せされることで、
- 育児休業給付金:67%
- 出生後休業支援給付金:約13%
合計で休業前賃金の80%の給付を受けられる仕組みです。
手取りは実質100%相当
育児休業中は
- 健康保険料
- 厚生年金保険料
が免除されます。
さらに育児休業給付金は非課税のため、給付率が約80%でも、
手取りベースでは休業前と同程度(手取り10割相当)になるとされています。
なぜこの制度があるのか?
父母がともに育児に関わることを支援するために設けられた制度です。
出産直後は
- 母親の体調回復
- 新生児の育児
- 家庭内のサポート
などが必要になります。
そのため、父親も育児休業を取得し、夫婦で育児に関わることが重要とされています。
出生後休業支援給付金は、父親の育児休業取得を促進する目的で設けられています。
支給対象期間
出生後休業支援給付金は、対象となる育児休業について最大28日間支給されます。
この給付を受けるためには一定の条件を満たす必要があります。
主な支給要件
一般的には次のような条件があります。
- 出生時育児休業給付金または育児休業給付金の対象となっている
- 子どもの出生後一定期間内に育児休業を取得している
- 父母ともに一定期間内に育児休業を取得している
これらの条件を満たす場合に既存の給付に上乗せして支給されます。
配偶者の育児休業取得が不要なケース
原則として父母がともに育児休業を取得していることが必要です。
ただし次のような場合は例外があります。
- 配偶者がいない
- 配偶者が自営業
- 配偶者が専業主婦(夫)
このような場合は、本人のみの育休でも対象となる可能性があります。
なお、このほかにも不要なケースがありますので、
公式資料「2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設しました」の
「3 配偶者の育児休業を要件としない場合」をご確認ください。
支給対象外となる場合
一定の条件に該当すると出生後休業支援給付金は支給されません。
次のいずれかに該当する場合は、出生後休業支援給付金の支給対象外となります。
- 被保険者が「通算14日以上」の育児休業取得要件を満たさない場合
- 配偶者が「通算14日以上」の育児休業取得要件を満たさず、「配偶者の育児休業を要件としない場合」にも該当しない場合
- 休業中に休業前賃金の80%以上の給与が支払われた
- 雇用保険の被保険者資格を失った場合(退職など)
- 対象期間外に育児休業を取得した場合
出生後休業支援給付金はいくらもらえる?(目安)
育児休業給付金(出生時育児休業給付金)に約13%が上乗せされ、合計で約80%の給付になります。
例えば、休業前6か月間の月給が30万円だった場合を考えてみます。
給与の日額 → (30万円 × 6カ月)÷ 180(※) = 1万円
※雇用保険の給付に用いる給与の日額(休業開始時賃金日額)は休業開始前の6ヶ月間に支払われた賃金(ボーナスを除く)の総額を180で割って算出します。
出生後休業支援給付金 → 1万円 × 13% × 28(日間) → 3万6,400円
育児休業給付金(出生時育児休業給付金) → 1万円 × 67% × 30(日間)= 20万1,000円
合計約24万円の給付となります。
理解を深める目的ために専門用語や正確な計算方法については割愛しております。
より詳しく知りたい方は、記事末尾の公式資料をご確認ください。
出生時育児休業給付金と出生後休業支援給付金の違い
出生時育児休業給付金は育休そのものの給付、出生後休業支援給付金はその上乗せ給付です。
この2つの制度は名前が似ているため、混同されることがあります。
出生時育児休業給付金 → 出生時育児休業を取得したことに対する給付
出生後休業支援給付金 → 既存給付(出生時育児休業・育児休業給付)に追加される給付
という違いがあります。
出生後休業支援給付金はいつ申請する?
出生後休業支援給付金は、育児休業給付金の申請とあわせて、休業後のタイミングで会社が申請します。
出生後休業支援給付金は、単独で手続きする制度ではなく、
育児休業給付または出生時育児休業給付金の申請フローの中で一緒に処理するものです。
育児休業給付金の支給申請方法については以下の記事をご覧ください。
▶ 「⑥育児休業給付金とは?支給額・条件・いつまで受け取れるか解説」
▶ 「⑦産後パパ育休(出生時育児休業給付金)とは?支給額・条件・申請方法を解説」
従業員から提出してもらう書類
育児休業給付(出生時育児休業給付金)の申請時と異なる必要書類として、以下のものがあります。
・配偶者の育児休業取得状況等が確認できる書類
→ 父親が申請する場合 「育児休業申出書」
→ 母親が申請する場合 「世帯の続柄付き住民票」
・配偶者の育児休業を要件としない場合に該当していることが確認できる書類
→ 配偶者の状況により必要書類が異なります。
詳しくは「育児休業等給付の内容と支給申請手続」の19~20ページをご確認ください。
会社として気をつけたいポイント
書類の多くは育児休業給付や出生時育児休業給付金と共通で、追加で確認書類が必要になるイメージです。
- 育休の申出時に「対象になるか」を確認する
- 配偶者の育休取得状況など、必要情報を早めに集める
- 育児休業給付とセットでスケジュール管理する
このあたりを押さえておくと、スムーズに手続きを進めやすくなります。
まとめ
- 申請は休業終了後に行うのが基本
- 育児休業給付金とあわせて会社が申請する
- 書類もほぼ同じで、まとめて処理するのが実務
- 電子申請も可能
「育休の給付申請とセットで進めるもの」と理解しておくと実務で迷いにくくなります。
よくある質問
Q 育休中に給与が支払われた場合はどうなりますか?
育休中に支払われた給与が休業前賃金の80%以上となる場合は、
出生後休業支援給付金は支給されないことがあります。
まとめ
出生後休業支援給付金は、夫婦で育児休業を取得した場合に、
育児休業給付金に上乗せして支給される制度です。
給付率は約80%となり、社会保険料免除や非課税の仕組みにより、
手取りベースでは休業前と同程度になるケースも多いという特徴があります。

社会保険労務士 関谷聡のこの記事のポイント
出生後休業支援給付金は夫婦で育児休業を取得した場合に
既存の給付に上乗せして支給される制度です。
なお、本記事は執筆時点の情報をもとにしています。
制度内容は変更される可能性がありますので、最新情報は公的機関の案内もご確認ください。
公式資料
より詳しく制度内容を確認したい方は、こちらをご覧ください。
「出生後休業支援給付金 」を創設しました(厚生労働省)
給付金の制度利用ガイド(デジタルパンフレット)パパ編(厚生労働省)
給付金の制度利用ガイド(デジタルパンフレット)ママ編(厚生労働省)
次の記事
次の記事は「⑨育児休業復帰時の社会保険料はどうなる?月額変更の仕組みを解説」です。
育児休業から復職して給与が下がった場合に社会保険料を見直す制度です。
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